商社・卸売業で成功するDXと失敗するDX
そもそも、DXの成功率はどのくらいかご存じでしょうか?もちろん何をもって成功とするかは千差万別ですが、日本におけるDXの成功確率はなんと3.1%※と言われています。何がこの成功と失敗の差を分けるのか?その一つがDXで「新規取引先獲得につながるかどうか」です。
※2020年12月28日発表:経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」より
では、何をすれば新規取引先の開拓につながるDXができるのでしょうか?
ポイントは「リスト」と「発信」です。まず「リスト」についてですが、皆様の会社で既存以外に、取引が終わってしまったお客様、まだ案件にはなっていないけどアプローチできるお客様はどのくらいおりますでしょうか?もし明確に把握できていなければ、即時業績アップの可能性があります。これはシステムを入れようという話ではありません。「デジタル資産が活用できていない」可能性が高いのです。
新規取引先を開拓する「リスト化」
最もリストに即時貢献できるのは名刺です。まず、名刺を集めて管理しましょう。ツールを入れるならおすすめはエイトかSANSANです。実は船井総研もSANSANを利用しています。複雑は作業は必要なく、名刺の収集、管理体制が整ったら十分です。それが終わったら次はサイトです。DLコンテンツを用意しましょう。具体的には、商品・ソリューションに関連するおすすめ情報や導入事例などをサイト上でダウンロードできるようにします。その際に個人情報を取り、リストに追加します。ほかにもいくつか方法がありますが、まずはこの2点を検討ください。このように、リストを増やすことで次の「発信」の準備を整えます。
新規取引先を開拓する「発信」
次に、できたリストに対する「発信」です。
ここには少しコツがいります。コツというのは、内容、対象、タイミングです。
まず送る内容についてですが、事例を中心にする必要があります。つまり、ソリューションとストーリーです。最初は単純な全配信で新商品の告知などでも一定の効果がありますが、本当に問い合わせにつなげるには商品とそれに紐付くストーリーが必要です。あるお付き合い先の食品卸業様では事例を見つけて社長自らコラムを書き、隔週で発信をしています。例えば、アンケート形式やQ&A形式、会話形式など効果的な見せ方ができれば読み物として成立するのでそのままDLコンテンツとしても利用できます。
次に対象とタイミングです。
実は最も重要なのがこの対象とタイミングで、ここは分析が必須です。どの業界に、またはどの施設に、どの規模に、どの商品がどのタイミングで売れているか?これを分析する必要があります。分析ツールのおすすめはBIです。取引情報をCSVで抜き出してこれらを分析することでより効果的な発信が可能になります。例えば、ある包材卸売業では2020年以降飲食店向けにテイクアウト用の容器がよく売れていました。これはコロナの影響が大きいわけですが、分析でそのことがわかると一緒に購買してくれている商品を洗い出し、組み合わせ、ランキング情報をサイトにテイクアウトの特集ページとして追加、メルマガでも飲食業向けに発信することで、飲食業の売上で昨対約2.5倍の売上を達成しました。
「リスト」と「発信」で新規取引先獲得につなげるDXを
このように、我々の認識では、成功しているDXとは「きちんと売上につながるデジタル化か?」ここが論点になると考えています。今回のリスト化と発信は、実は船井総研が最も得意としており、自社でも実際にやっている手法です。ぜひ皆様も実行を検討してみてはいかがでしょうか?
このような方は今すぐチェック!
https://www.funaisoken.co.jp/dl-contents/digitalmarketing__00345
・リスト化と発信を自社に落とし込みたい
・数値をもとに経営判断を行いたい
・よりリアルタイムで会社の今の状態を把握したい
・数値に基づいたマーケティング施策を打ちたい
著者情報
株式会社船井総合研究所
ECグループ コンサルタント
中村 勇志Yushi Nakamura
大学卒業後、大手広告代理店に就職。OMOのプロモーション提案を得意とし、トップ営業マンの経歴を持つ。船井総研に入社してからは、RPAとBIツールを利用したデータを駆使し、「売上を上げるためのデータ活用」を中心に行う。これまで、自動車・不動産・保険代理・アミューズ・ゼネコン・アパレル・小売・士業など、のべ50社にも及ぶ幅広いクライアントのDXと業績アップに貢献している。
共同著書:「担当者になったら知っておきたい 中堅・中小企業のための「DX」実践講座」
寄稿記事:NewsPicks「RPAを活用して業績を伸ばす方法」2021年6月など
その他:2021年度船井総合研究所ベストコンサルティング賞3位受賞