近年、企業経営においてデジタル化や DX など、の流れで SFA や CRM という言葉が聞こえてきます。今回はそんな SFA、CRMの違いと、それぞれの役割や機能などの基礎知識をご説明いたします。
そもそも DX 化を求められる背景って?
昨今、デジタル化の波が進んでいく中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がよく出てきています。
DX とは、簡単に言うと「データやデジタルツールなどを活用し、ビジネスモデルや業務内容、ひいては企業文化までを変革すること」とご理解いただければと思います(※1)。
※1:詳細は経済産業省の『デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン』をご確認ください。
そんな DX ですが、求められる要因としては「2025 年の壁」と呼ばれる現象から来ております。
例えばですが、部門間でのデータ連携ができていなかったり、システムが複雑すぎて活用しきれていなかったりと、デジタル競争下で生き残ることが困難になってきます。
そこで、デジタルを活用して連携を進めたり、システムの一元化をして事業をより良い方向に変革したりして、競争力を高めていく、これが昨今求められている“DX(デジタルトランスフォーメーション)”なのです。
まず取り組むのは顧客まわりの DX
さて、そんな DX ですが、まずは顧客まわりの DX から進めることをお勧めいたします。
事業において、大きく分けて
- 会計処理などの『基幹まわり』
- 社内連絡ツールなどの『現場まわり』
- 販促サイトなどの『顧客まわり』
の 3 つの領域があると思います。
1と2の『基幹まわり』『現場まわり』は一般に経費削減、コストダウンを目的としたもので、経営という目線で見ると、そこまで大きなインパクトはありません。
一方で『顧客まわり』の変革は直接売上増につながる変革ですので、まずはここから進めていくことが流れとして順当でしょう。
実際に『顧客まわり』の DX を実施し、
- 営業担当者1人当たりの商談数が 1.5 倍になった
- 受注率が 20%から 25%に上がった
- 全体の売上が 1.5 倍になった
という企業様もいらっしゃりますので、まずはこの売上に直結する領域から DX に取り組むのが良いでしょう。
そして売上が増加したのち、増加した売上を生産性向上やコストダウンのための投資に回す、というのが理想的かと思います。
SFA と CRM の違いとは?
先程『顧客まわり』の DX とお伝えしましたが、その中でも『SFA』と『CRM』と呼ばれるツールを導入する企業が急増しています。
この 2 つは保有している機能が非常に近しいので混同しがちですが、
- 『SFA』は『営業支援システム』
- 『CRM』は『顧客管理システム』
という違いがございます。
より具体的にお伝えすると、
- 『SFA』はどんなお客様にどんな対応をしているか、現状の営業実績はどれほどかなど、営業担当者の管理に特化したツール
- 『CRM』はお客様のデータを蓄積(データベース化)していき、過去の取引などの履歴情報を取りまとめる機能を持っているツール
という違いがあります。
さらに一言で表すとすれば
- 純粋に顧客の情報をまとめていくのが『CRM』
- 営業の可視化や営業力の強化するのは『SFA』
と考えてよいでしょう。
SFA と CRM、どちらを導入すべき?
それでは一体『SFA』と『CRM』どちらを導入すればよいのか、というと結論両者同時導入が望ましいです。
とはいえ、まずはどちらかからというのであれば、自社の抱えている課題別に考えてみるとよいでしょう。
下記に『SFA』と『CRM』それぞれ、どういった方にオススメかまとめましたので、ぜひ自社に照らし合わせて考えてみていただければと思います。
【SFA の導入をオススメするパターン】
- 各営業担当者の営業成績がわからない…
- 営業担当者がどういった営業をしているかがわからない…
- 営業の際の業務フローが整理されていない…
- 見込み顧客に対するフォローが適切にできておらず、取りこぼしが多い…
- 営業情報や売上管理を一元化したい…
【CRM の導入をオススメするパターン】
- そもそも顧客情報を適切に取りまとめられていない…
- 営業担当者が個別に管理しており、任せきりになっている…
- 紙や Excel で管理しており、最新情報がわからない…
- 顧客がどういった商品・サービスに興味があるかわからない…
- 他サービスの営業ができておらず、クロスセルができない…
上記のようなお悩みをお抱えの場合、ぜひ『SFA』『CRM』の導入をご検討ください。
自社にあった営業の DX を!
以上、昨今よく言われている DX から、『SFA』『CRM』のそれぞれの違いについてご説明させていただきました。
2018 年からよく言われるようになった DX ですが、コロナの影響等もあり、急速に加速している市場でございます。
この波に乗り遅れないよう、自社はどういった課題を抱えていて、その解決には何が適切なのか、すぐにでも把握していくことが重要となります。
また、『SFA』や『CRM』はあくまでツールです。
ただ導入するだけではいけません。
何を目的に、どういったことを成し遂げたいか、明確にすることで DX、デジタルトランスフォーメーションをうまく進めることができるでしょう。
著者情報
株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト
横窪 勇太Yuta Yokokubo
明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。