中小企業庁発行の『中小企業白書2021』によると、日本企業で「DX未着手」、または「DX途上」に分類される企業が「9割以上」であると示されました。現場レベルにてDXに向けた業務を落とし込むために押さえたい視点をお伝えします。
1.自社のDX推進の全体像を把握する
自社のDX推進に向けて全体像や青写真をまとめるために、DXジャーニーマップという、いわば自社のDXを実現させるための設計図を活用することは、とても有効です。
ここで、
1)おおよそのスケジュール感
2)得られそうな顧客体験(=CX:カスタマーエクスペリエンス)
3)各ステップで目標にしたいこと・数値(=KGI・KPIという)
4)導入予定のデジタルツール
等を可視化させていくことで、DXに向けた機運はある程度高まることでしょう。
2.DXが進まない原因とは?
ただいざ現場レベルにまで落とし込みを実施すると、DX自体の理解が不足している社員が多い状態では、中々上手くスケジュール通りに進まないのが現状です。
場合によっては各ステップにおいて、2~3ヵ月程度遅れてしまう、1年ほど放置状態になってしまう、といったことになりかねません。
「DX」は一見華やかなイメージでも、実際の業務は「地道なことの積み重ね」で、年単位等長期間で行います。
私自身も営業面のDX推進やデジタルマーケティングに携わっておりますため、日々実感しているところです。
では自社のDXが進まない原因としては、どのようなことが考えられるでしょうか?
1)デジタル・DXに関する知識不足・理解不足
2)経営陣・幹部陣だけの情報共有となってしまっている
3)既存業務との兼ね合いで優先順位が下の方になってしまっている
4)自社従業員のDX推進に対するモチベーションが上がらない
5)DXやAI(=人工知能)に対する忌避感(自分の仕事を取られる・取って代わられる可能性への不安感)
6)人手不足
7)システムへの投資に回す資金不足
ここでは一例をご紹介しましたが、できない理由を挙げ出したらキリがありませんので、DX経営を現場レベルにまで落とし込むために必要な視点を次章にてご紹介したいと思います。
3.まとめ:自社DXのために大切な視点とは?
ここで言えることは、自社のDX推進加速や、将来のDX人材育成推進はもとより、
◆【理解浸透】:DXにおける理解と自社の将来像をどのように現場レベルにまで広めていくか?
◆【人員工数】:DXに向けた業務に、どれくらいの人員や工数を割けるか?
◆【優先順位】:本業と並行して、DXに向けた業務について、いかに優先順位を上げられるか?
◆【業務管理】:具体的な業務・担当フローの理解をどのように広め、どのように進捗管理を行うか?
という点が重要になっていきます。
前述の『中小企業白書2021』では、2025年頃に「AI(=人工知能)が人の代役になる」、2030~2040年頃に「人と機械が共存・協調する社会になる」という見通しが示されています。
DXの波に乗り遅れないように、上記のポイントを押さえて、確実に業務を進める体制を構築しましょう。
著者情報
株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト
横窪 勇太Yuta Yokokubo
明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。