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2022.01.29

コンテンツマーケティングとは?概要や運用方法・メリットなど徹底解説

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経営に携わっている人なら、ビジネスを成功に導くにはコンテンツマーケティングの導入が欠かせないという話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、詳しい内容がわからないのでは、導入に二の足を踏んでしまっても仕方がありません。この記事では、導入を迷っているCMOが知っておくべきコンテンツマーケティングの概要や運用方法、メリット、注意点などについて解説します。

 

1.コンテンツマーケティングとは?

 

コンテンツマーケティングとは、ユーザーの関心を引くような情報でコンテンツを作り、売上や集客につなげる仕組みのことです。コンテンツ(content)とはさまざまな情報を意味のある形にまとめたもので、特にIT分野でメディアに記録されたりインターネットで伝送されたりするものを指します。コンテンツを構成するのは文字でなくてもよく、図形や画像、音声、動画など、さまざまなものを含めることが可能です。

 

コンテンツマーケティングで使用するメディアというと、SNSやブログなどが主流ですが、それ以外のメディアも利用できます。コンテンツマーケティングでは利用できるメディアの選択肢が多いため、より高い効果を期待するなら、商品やサービスの利用や集客につながりやすいメディアは何なのかを見極めることが重要です。ユーザーにとって利用価値があり、企業にとっても見込み客の獲得につながるような方法で情報提供を行うことが求められます。

 

2.コンテンツマーケティングが注目される理由

 

これまでのマーケティングでは、不特定多数の人の目に留まることを重視したマスメディアが用いられていました。できるだけ多くの人の目に触れるようにテレビCMやチラシ、雑誌、看板などを広告媒体として利用し、販促や周知を図るというのが従来型の方法です。しかし、人々の関心が多様化し、人によって利用するメディアが分かれるようになると、テレビの視聴や紙媒体の利用が減り、従来と同じ宣伝の方法では、広告費に見合うような効果が得られなくなってきました。そうなると、高額な広告費を使って広告を出すような企業が減るため、広告離れが加速的に進みます。

 

それでも、企業にとって、見込み客を獲得したり売り上げを向上させたりすることは必要なことです。商品・サービスの周知や販促を行わないわけにはいきません。これまでとは異なる形で、自社商品やサービスを知ってもらう方法を模索することになりました。テレビCMやチラシは、不特定多数に向けて企業側が一方的に情報を押し出すアプローチ方法です。情報を必要としない人にも同じように発信してしまうので、効率が悪い方法でした。そこで、利用するメディアを選び、ユーザーが求める情報をコンテンツに盛り込むことで、情報を必要とする人が自ら情報を求めにやってくるようにしたのがコンテンツマーケティングです。

 

3.コンテンツマーケティングで得られる効果とは

 

コンテンツマーケティングに期待できる効果は主に3つあります。1つ目は見込みユーザーを集める効果です。見込みユーザーとは、商品の購入やサービスの利用に関心があり、顧客になる可能性を秘めているユーザーのことをいいます。商品やサービスに全く関心のない層に購入や利用を勧めてもアクションを起こすことはあまり期待できません。しかし、見込み客に商品やサービスの良さを伝えれば、購入や利用につながる可能性は高くなります。

 

2つ目は商品購入やサービス利用を検討しているユーザーの購買意欲を高める効果です。ユーザーが必要としている有益な情報をコンテンツに数多く含めることで、商品やサービスに対する評価が高まり、商品購入したりサービスを利用したりしたいと思わせることができます。テレビCMやチラシとは異なり、コンテンツマーケティングの場合は、購買意欲が高まったタイミングで、ユーザーはすぐにアクションを起こせるという点が重要なポイントです。欲しい、利用したいという気持ちを高めれば、そのまま商品の購入やサービスの利用につながる可能性は高いといえます。

 

3つ目は、既存ユーザーの満足度を向上させる働きです。コンテンツ量が増えればWEBサイトの評価は向上するので、検索結果の上位に表示されやすくなります。副次的な効果とはいえ、コンテンツの内容が充実し、検索結果上位に上がるようになれば、既存ユーザーにとってもWEBサイトの使い勝手がよくなるでしょう。それ以外にも副次的な効果として考えられることはいくつかあります。たとえば、SNSにシェアされたり、他の個人ブログなどに取り上げられたりすれば、そこから新規ユーザーや見込みユーザーが流入するようになるでしょう。しっかりコンテンツを作り込むことが、ビジネスに大きな効果をもたらすことにつながります。

 

4.コンテンツマーケティングとSEO対策の違い

 

コンテンツマーケティングと混同されやすいのがSEO対策です。SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンの最適化のことで、意図的に自社のWEBサイトをサーチエンジンで検索したときに、上位表示されるようにすることをSEO対策といいます。独自のアルゴリズムによってWEBページを順位化するサーチエンジンのクセを利用して上位表示を目指すのがSEO対策の基本です。ただし、サーチエンジンのアルゴリズムは年々高度になり、仕様の変更も頻繁に行われるので、100%確実といえるようなSEO対策というものは存在しません。この段落では、SEO対策とコンテンツマーケティングにはどのような違いがあるのかを解説します。

 

4-1.ターゲットユーザーが違う

 

コンテンツマーケティングとSEO対策では、ターゲットとなり得るユーザー自体が異なります。SEO対策は「検索する」という行動があって初めて効果を発揮するものです。特定のキーワードで検索が行われた際に、できるだけ上位表示されるように対策するので、既に自社の商品やサービスに関心を持ち、購入や利用を検討しているユーザーの流入しか期待できません。まだ商品の購入やサービスの利用を検討すらしていない段階のユーザーはターゲットになっていないからです。

 

それに対して、コンテンツマーケティングのターゲットは、自社の商品やサービスを知らない、あるいは関心を持っていない潜在客にまで及ぶことが期待できます。コンテンツの内容や構成を工夫すれば、自社の名前や商品名、サービス名すら知らない層をターゲットにして、ブランドの認知度を上げるために活用することも可能です。

 

4-2.最終目的が違う

 

コンテンツマーケティングとSEO対策では、ユーザーをどうしたいのかという最終目的が違います。最終目的とは、ユーザーに対してどこまでの行動まで求めるかという点です。コンテンツマーケティングでは、コンテンツにターゲットユーザーの求める情報を提示することによって、ユーザーが商品購入やサービス導入といった行動を起こすように誘導します。

 

それに対して、SEO対策は、コンテンツの認知度を上げるということが主な目的です。SEO対策を行うことによってコンテンツがユーザーの目に留まりやすくなるため、コンテンツに流入するユーザーの数は増えるでしょう。しかし、コンテンツへの流入が成功しても、実際の商品購入やサービス導入へと結びつかなければ、コンテンツマーケティングとしては失敗です。求めているのがWEBサイトへの流入までか、その先にある購買行動までかという点が両者の最大の違いだといって良いでしょう。

 

5.コンテンツマーケティングの形式

 

コンテンツマーケティングは利用するメディアの自由度が高く、盛り込むことができる情報も限定されていません。いろいろな形式のコンテンツが考えられる分、ターゲットにぴったり合う形式を選ぶことがとても重要です。この段落では、ターゲットごとに変わるコンテンツマーケティングの形式について解説します。

 

5-1.エデュケーショナルタイプ

 

コンテンツマーケティングの基本的な形式の1つにエデュケーショナルタイプというものがあります。エデュケーションとは英語で教育という意味です。エデュケーショナルタイプのコンテンツでは、ユーザーが疑問に感じているであろうことに対する正解を提示して発信します。自社の専門的な知識や技術を生かしてユーザーを教育することになるため、企業の信頼性アップや商品の購入、サービスの導入などにつながる可能性が高まります。

 

コンテンツ上で正しい知識を得たうえで商品の購入やサービスの導入が行われれば、イメージと実物とのギャップは最小限に抑えることが可能です。購買体験の質が向上するため、口コミなどでも高評価を得られやすくなります。また、コンテンツマーケティングで用いるWEBサイトは、情報を必要とするユーザーが自ら情報を得るために訪れるコンテンツなので、トレンドやタイミングに左右されにくいのが特徴です。内容的にしっかりしたものを作っておけば、継続的なユーザーの流入が期待できます。

 

5-2.コンテンツSEOタイプ

 

ターゲットユーザー次第では、コンテンツSEOタイプが効果を発揮します。コンテンツSEOタイプは、コンテンツが検索結果上位に表示されることを重要視する形式です。コンテンツマーケティングとSEO対策は別物ですが、両方を兼ね備える形式にすることでユーザーへの認知度を高めることができます。ただし、SEO対策は、見込みユーザーが自発的に検索しなければ効果が発揮されません。したがって、この形式でコンテンツマーケティングを行えるのは、ユーザーが自発的に検索し得る商品やサービスを提供している場合に限られます。

 

コンテンツSEOのターゲットは、ロングテールキーワードを検索するユーザーです。ロングテールキーワードとは、ニッチキーワードともいわれるもので、メインの1単語に3~4の単語を含めた限られた人のみが検索する検索回数の少ないキーワードのこと指します。わざわざロングテールキーワードを狙うのは、ユーザーが求める内容に絞り込まれた状態で表示されるためです。クリックやコンバージョンにつながりやすく、表示される際の競合も少ないというメリットがあります。コンテンツを量産する必要はありますが、ユーザーに対する間口を広める際には有効です。

 

5-3.ネイティブ広告タイプ

 

ネイティブ広告タイプとは、広告をコンテンツに近い形で発信するものです。コンテンツとして読み進めていったら、結局広告だったという形になっているものがネイティブ広告タイプに分類されます。コンテンツを模して造られているため、ユーザーが最初から広告と認識するものではありません。コンテンツとして利用しているうちに、自然と情報を受け取っていることから、ネイティブ広告と呼ばれます。SNSなど何らかのメディアの力を借りることになるため、独立したコンテンツとして発信することはできません。しかし、商品やサービスのターゲットとなり得る層がどのようなメディアを利用しているかを分析できれば効果を上げやすい方法です。ターゲットユーザー層が頻繁に利用するメディアを選んで情報発信すれば、商品の購入やサービスの導入へと自然に誘導できます。

 

5-4.面白コンテンツタイプ

 

面白コンテンツタイプは、爆発的に情報が拡散される可能性のあるコンテンツマーケティングの形式です。面白コンテンツタイプとは、ユーザーの興味を引く面白いコンテンツを利用してターゲットユーザーの関心を引くことをいいます。面白いと感じてくれる人が多ければ多いほど、SNSを通じて情報が拡散されるため、潜在ユーザーの発掘につながる可能性が高い方法です。

 

興味を持った人がコンテンツの内容を広めてくれるので、認知度は低いが、関心さえ持ってもらえれば購入や導入につながるという商品やサービスに適したコンテンツマーケティングの形式だといえます。単にコンテンツが面白いというだけではなく、商品やサービスの魅力がきちんと伝わる内容になっていることが重要なポイントです。面白さと商品やサービスの情報をバランスよく盛り込んでコンテンツを作り発信すれば、新規ユーザーや潜在ユーザーの獲得につながるでしょう。

 

6.コンテンツマーケティングで利用されるコンテンツ

 

コンテンツマーケティングでは、どのようなコンテンツを利用して情報を発信するかがとても大事なポイントになります。この段落では、コンテンツマーケティングで利用されることが多いコンテンツの種類とそれぞれの特徴について解説します。

 

6-1.オウンドメディア

 

オウンドメディアとは、企業などが独自に所有しているWEBサイトやブログなどの情報発信媒体のことです。インターネットで発信するものに限らず、企業が独自に作成する広報誌や冊子のメディアもオウンドメディアに含まれます。さまざまなメディアを統合したり、補完したりする役割を持つという点が特徴です。

 

広告は費用対効果を重視する媒体、SNSは評価の獲得を重視する媒体なので、それぞれ発信できる情報の中身やコンテンツの造りが異なります。オウンドメディアは、多様なメディアで発信した情報を統合し補足説明できるメディアなので、コンテンツマーケティングでもっとも利用されるコンテンツです。説明をしっかり行うことで、企業の独自性をアピールしたうえで、高い信頼も獲得できるコンテンツなので、企業のブランディングや採用ブランディングを目的とする場合に向いています。

 

6-2.メールマガジン

 

メールマガジンとは、登録したユーザーに向けて定期的に行うEメール配信のことです。一定のタイミングでユーザーに有益な情報を提供することで、長く接点を持ち続けることができます。コンテンツマーケティングは、新規ユーザーや潜在ユーザーの誘導に使われるものが多いなか、メールマガジンは既存ユーザーへのロイヤリティアップにも有効なコンテンツです。

 

Eメールを利用した方法なので、インターネットを利用したビジネスなどで利用されることが多い方法ですが、もっと有効な活用方法があります。実は、メールマガジンはセミナーへの参加や実店舗への来店を促すのに向いているコンテンツです。日頃からユーザーにとって有益な情報を配信しておけば、ユーザーとの関係性が近くなり、セミナー開催情報やキャンペーン情報を織り交ぜても、抵抗感なく受け取ってもらえるようになります。インターネットを通じた接点を現実での接点に変えるきっかけとして利用するのに適しているコンテンツです。

 

6-3.動画

 

動画は、視覚だけでなく聴覚にも訴えることが可能です。動画で情報を配信すると、テキストコンテンツとは比べ物にならないほど多くの情報を発信することができます。テキストだけでは伝わりにくい内容もユーザーの感情に訴える形で伝えられるので、それまで商品やサービスに関心を持っていなかった層を取り込みやすいコンテンツです。

 

紹介する内容が同じでも、動画は編集や構成次第でテキストコンテンツを大きく超えるインパクトをユーザーに与えることができます。動画はSNSとも相性がよいので、気に入ってもらえれば、拡散してもらえるかもしれません。最初から拡散の可能性を考えてしっかりとした内容に作り込んでおくことが大事です。視聴価値があると判断してもらえれば、それだけ拡散の可能性が増えます。商品やサービスの認知度が高まれば、購入や導入まで進むユーザーも獲得しやすくなるでしょう。

 

6-4.ウェビナー

 

ウェビナーとはWEBとセミナーを合わせた造語で、オンラインセミナーのことをいいます。ウェビナーには2つのタイプがあり、1つは収録してある動画を配信するタイプ、もう1つは、セミナーをLIVE配信するタイプです。前もって収録したものを配信するタイプは、24時間いつでも好きな時間に視聴できるという特徴があります。LIVE配信するタイプは、リアルタイムで視聴者からの質問などを受けることができるため、ユーザーが何を求めているかを確認しやすい点がメリットです。

 

専門的な知識や技術に関するセミナーを用意することで、自社商品やサービスのターゲットを効率よく集められるコンテンツです。ウェビナーの中で自社商品を利用したり、自社製品の活用方法を紹介する内容を含めたりすると、自然な形で成果につなげられます。ウェビナーを導入する際には、内容に応じて録画配信かLIVE配信かだけでなく、一方向配信にするか双方向配信するか、講義スタイルにするかスライド形式にするかなどもよく考え、効果的なスタイルを選ぶことが大事です。

 

6-5.ホワイトペーパー

 

特定分野における研究結果や調査報告を記したものをホワイトペーパーといいます。専門的分野について詳細な情報を求めるターゲットユーザーを集める際に有効です。実験やアンケート調査の結果など、事実に基づいたデータを提供することになるので、ユーザーからの信頼を得やすくなります。

 

ただし、情報をただ掲載するだけでは商品の購入やサービスの導入にはつながりません。WEBサイトからホワイトペーパーをダウンロードする際の条件として、会社名や氏名などの個人情報を入力してもらうように設定しておくと、企業側からアプローチしやすくなります。独自に入手した情報を提供するのですから、ユーザー側だけでなく、企業側も有効に活用できるようにコンテンツを作ることが大事です。

 

7.コンテンツマーケディングのメリット

 

ビジネスを行ううえでコンテンツマーケティングが欠かせないといわれるのは、相応のメリットが期待できるからです。この段落では、コンテンツマーケティングを行うことでどのようなメリットが得られるのかを解説します。

 

7-1.運用費用を抑えられる

 

コンテンツマーケティングには、広告を利用したマーケティングよりも運用費用が抑えられるというメリットがあります。広告を利用したマーケティングでは、ユーザーの流入を期待するならその間はずっと広告を出し続けなければなりません。広告をやめてしまうと、ユーザーの流入もとまってしまうからです。広告を出し続けるためには、初期費用だけでなく、継続的な運用費用も必要になります。広告を作成するだけでも莫大な費用が必要です。維持費も必要となると、かけた費用に見合う効果を得るためのハードルが高まるうえに、費用をかけられる企業も限られることになります。

 

その点、コンテンツマーケティングでは、コンテンツの作成に費用が必要な場合でも、継続的な運用費用は不要です。初期費用をかけずに作成できる場合もあるので、広告でマーケティングするよりもかなり費用を抑えられます。作成したコンテンツの情報がユーザーの求めるものであれば、更新しなくても一定数の流入が期待できるというのも、広告との大きな違いです。

 

7-2.コンテンツそのものが資産として蓄積される

 

マーケティングのために作成したコンテンツそのものが、資産として蓄積されていくこともコンテンツマーケティングのメリットです。広告の場合、広告を出した後で得られるものは、出稿した際のデータくらいしかありません。しかも、そのデータには他の使い道がないことがほとんどです。複数回広告を出しても効果が出ず、後に残るものがないということも起こり得ます。

 

一方、コンテンツは作成すればその分だけユーザーが流入する入り口も増えることになるので、ひとつひとつがユーザーとの接点を生み出す資産です。WEB上に公開している記事の数が増えると、それだけ検索エンジンに優良コンテンツと認識されやすくなり、上位表示もされやすくなります。記事を公開し続ける限り効果をもたらしてくれる可能性がある資産の数も増えていくことになるというのが、コンテンツマーケティングの強みです。

 

7-3.低コストで始めることができる

 

低コストで始めることができるという点もコンテンツマーケティングのメリットです。まず、コンテンツの制作にかかる費用は、広告と比べるとかなり低額です。広告を出すとなると、安くても数万~数十万円の予算が必要になります。ターゲットの数が増えれば増えるほど広告を出す範囲も広がるため、さらに多くの予算が必要です。

 

それに対して、コンテンツは広告と比べると作成に係る費用が安く、発信のための費用も抑えられます。記事をブログなどの形で配信したとしても、かかるのはサーバー代やドメイン代くらいです。コンテンツの作成から配信までを含め、年間数万円程度で済むので、試しに導入する際のハードルも、広告よりもかなり低いといえます。低コストで始められるコンテンツマーケティングは、コスト面のメリットが大きいといって良いでしょう。

 

7-4.ロイヤリティのアップが期待できる

 

マーケティングにおいては、ユーザーが企業やブランドを高く評価したり信頼したりすることをロイヤリティといいます。ロイヤリティのアップが期待できるという点も、コンテンツマーケティングならではのメリットです。企業が一方的に情報を発信するスタイルとは異なり、ユーザーが自らの意思で自分にとって有益な情報を発信しているコンテンツを見つけて接点を作ります。コンテンツに対してや企業・ブランドに対して高い評価をする傾向があります。

 

ユーザーのロイヤリティがアップすると、ユーザーにとっての企業の価値が上がるので、競合他社や競合ブランドと比較されにくくなり有利です。他のコンテンツと比較されることも減るため、有益な情報だけユーザーに提供して、価格競争には敗れてしまうということもなくなります。

 

7-5.これまでにない客層へのアプローチができる

 

コンテンツマーケティングは、多言語で展開することができるうえに、インターネットを介することで、遠方ユーザーへの接点も作りやすいのが特徴です。この特徴をうまく利用すれば、従来型のマーケティングでは難しかった、地方から都市部へ、日本から海外へといった遠方の客層へのアプローチの可能になります。

 

また、インターネットを介したアプローチは、別の層との接点を生み出すうえでも有効です。テレビCMなどの場合は、企業側が一方的に情報を流す形になるため、ちょうどCMが流れている時間帯にテレビを視聴している人としか接点が生まれません。しかし、WEB上のコンテンツとして作り込んでおけば、ユーザーが利用しやすい時間帯を選んで、好きなタイミングでアプローチできるようになります。これまで時間帯が合わず接点が生まれにくかった層も新規ユーザーや見込みユーザーとして取り込める点は大きなメリットだといって良いでしょう。

 

7-6.SNSによる高い集客効果が見込める

 

スマートフォンが普及しSNSの利用が一般化したことで、情報拡散の手段が大きく変わりました。利用者が口コミで広めていた頃と違うのはもちろん、インターネットをパソコンで利用していた頃とも拡散スピードが違います。パソコンが主流だったころは、ブログでの情報拡散が中心だったので、広まるまで少し時間がかかりましたが、SNSでの拡散はリアルタイムで一瞬です。

 

SNSの利用者は、自分が有益だと感じたコンテンツを周囲にも知らせたいという傾向があるため、うまく関心を引くことができれば瞬時に拡散します。コンテンツマーケティングの基本は自然検索にあるとはいえ、SNSからの流入も期待できるという点は大きなメリットです。コンテンツを高く評価したユーザーのSNSには似たような感性を持つフォロワーがたくさんついているため、認知されやすく集客率のアップも期待できます。

 

8.コンテンツマーケティングの実践方法

 

コンテンツマーケティングの特徴や種類、導入のメリットなどが分かったところで、今度はどのような手順で進めていけばよいかを理解しましょう。この段落では、コンテンツマーケティングの実践方法について解説します。

 

8-1.マーケティングゴールを決める

 

マーケティングは、最初にゴールを決めるところから始めます。ゴールを先に設定しておくことで、ゴールにたどり着くために必要な施策をプランニングできるようになるからです。もしもゴールを設定せずに始めてしまうと、ターゲットが曖昧になり、効果が出にくい中身の薄いコンテンツマーケティングになってしまう可能性が高くなります。

 

マーケティングのゴールをどうするかによって、必然的に効果が期待できるコンテンツも大きく変わります。何が効果的なのかを考えずにコンテンツを選ぶことになるので、ゴールを決めずに始めてしまうのは無謀だと言わざるを得ません。仮に、ゴールが明確に設定されていないコンテンツでマーケティングを行ったのでは、本当に成功したのか、なぜ成果が出たのかということを説明することすら困難です。どういう結果が出れば成功といえるのかを決めてからスタートさせることが、企業内で認知してもらうことにもつながります。

 

8-2.ターゲットユーザーを決める

 

コンテンツごとに流入しやすいユーザーが異なります。そのため、コンテンツマーケティングを成功させるためには、ターゲットユーザーを絞ることが不可欠です。詳細にターゲットユーザーの設定を行うことが、求めるユーザーが流入しやすいコンテンツを作ることにつながります。ターゲットの設定は年齢、性別、趣味、悩み、趣向といった人物像に加え、WEBのアクセス手段などについても細かく行うほうが効果的です。実際に自社商品やサービスを利用する層とターゲットユーザーの設定を近くすることで、コンテンツマーケティングの効果を高めることができます。

 

コンテンツマーケティングのターゲットを設定する際には、既存のユーザーをよく分析することが大事です。既存のユーザーに当てはまる傾向を見つけ出し、ターゲットの設定に生かすことができれば、実際の購入や導入につながる可能性が高くなります。

 

8-3.ユーザーの疑問を想定する

 

ターゲットユーザーを設定したら、そのユーザーがどんなことを知りたいと考えるかを想定します。コンテンツマーケティングでは、ターゲットユーザーにとって有益な情報を載せることで、コンテンツへの流入を誘導するからです。ターゲットユーザーが自然検索した際に、有益だと感じる情報が表示されるようにするためには、できる限り明確に疑問を想定し、それに対する回答を用意しておく必要があります。

 

ターゲットユーザーの疑問を解決するような情報をコンテンツに盛り込めるかどうかが、コンテンツへの流入確率を左右する大事なポイントです。コンテンツを作っても流入が少なければ商品の購入やサービスの導入にはつながりません。有益な情報を得られるコンテンツであることを覚えてもらえれば、次からは別のルートでも流入が期待できるようになります。コンテンツへ誘導するのに十分な内容の回答を用意するためには、ターゲットユーザーの疑問を正確につかむことが重要です。

 

8-4.キーワードを選定する

 

どのような回答を情報としてコンテンツに盛り込むかが決まったら、ターゲットユーザーが検索の際に用いるキーワードを選定します。どのようなキーワードで検索した際に、コンテンツにたどり着くのかを考えて、キーワード設定することはとても重要なことです。検索ニーズの少ないキーワードを使用してコンテンツを作成しても、そのキーワードで検索する人は限られているため、コンテンツが目に触れる機会はかなり少なくなってしまいます。自然検索でターゲットユーザーが流入する期待は限りなく減ってしまうといわざるを得ません。

 

とはいえ、誰もが検索するようなメジャーな検索キーワードを利用してコンテンツを作成しても、競合が多いため、自社コンテンツが目立たないでしょう。検索結果上位の表示が難しくなるため、自社コンテンツへの流入はあまり期待できなくなってしまいます。ビッグキーワードは分けたうえで、ある程度検索ニーズのあるキーワードを選定して、コンテンツ作りをすることが重要です。

 

8-5.タイトルを作成する

 

コンテンツマーケティングでは、コンテンツに付けるタイトルもターゲットユーザー流入に結び付く重要なポイントです。タイトルはキーワードをもとに作成します。読んだ時にある程度内容を想像でき、ターゲットユーザーが自分の疑問を解決できるかもしれないと感じるようなタイトルにすることが大事です。検索エンジンは、タイトルに使用されているキーワードをもとに表示するコンテンツを選び、表示する順位を決めます。そのため、検索結果として表示されやすいタイトルを意識して作成することも必要です。

 

ただし、キーワードをたくさん盛り込めばよいというわけではありません。過剰にキーワードを含むタイトルにしてしまうと、検索エンジンがスパム行為と判断してしまうかもしれません。スパム行為と判断されると、記事としての評価が下がり、検索結果として表示されにくくなってしまいます。

 

8-6.コンテンツを作成する

 

キーワードを適度に含んだタイトルを作成したら、いよいよコンテンツの作成です。SEO対策を意識しながらコンテンツを作成すると、検索されやすいものを作れます。著作権や肖像権、商標権などを侵害することがないように、注意することも必要です。万が一気付かずに法律に触れるような内容のコンテンツを作成しWEB上に掲載してしまうと、企業としての信頼や商品、サービスの評価を損ねることにもなりかねません。法令を順守した内容を意識してコンテンツを作成することが重要です。

 

いかにも商品の購入やサービスの導入を迫っているように感じられるコンテンツは警戒されてしまいます。一旦コンテンツを開いても、有益ではないと思われてしまうと、実際の購買には結びつきません。ターゲットユーザーの流入が期待できるコンテンツは、自然検索の結果としてスムーズに誘導されるものです。ユーザーが安心して利用できるような、コンテンツに仕上げることも必要でしょう。

 

8-7.コンテンツを公開する

 

コンテンツとして完成したら、WEB上で公開します。マーケティングに利用するコンテンツですから、ターゲットユーザーが利用できるように公開しなければ意味がありません。公開する際には、コンテンツが検索結果として表示されやすいように、コンテンツごとのURLを設定するようにしましょう。URLも検索エンジンが表示を決めるときの参考となるものの1つです。タイトルと関連性が強いURLを設定することで、キーワードで検索したときに結果として表示されやすくなります。

 

コンテンツを公開したら、どのように表示されるか、実際に検索して確かめてみましょう。想定したキーワードで検索しても、思ったように表示されないかもしれません。その場合は、手直しが必要です。マーケティングに有効なコンテンツに仕上がっていることが確認できたら、ターゲットユーザーの流入を待ちましょう。

 

9.既存のコンテンツをマーケティング用に改変するポイント

 

コンテンツマーケティングでは、既存のコンテンツをマーケティング向けに改変して運用することもあります。この段落では既存のコンテンツをマーケティング用に改変する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

 

9-1.既存コンテンツの問題点を訴求する

 

既存のコンテンツをマーケティング用に改変する前に、何が原因で有用に運用できていないのかを調べる必要があります。問題点を棚上げしたままマーケティングに転用しても効果が期待できないからです。例えば、企業やコンテンツ制作者の感覚だけが反映された内容になっているコンテンツは、ターゲットユーザーの流入が期待できません。ユーザーを無視したものになっていないか確認して、問題点を訴求することが重要です。

 

SEO対策がきちんとできているかどうかも確認する必要があります。マーケティングに利用するためには、できるだけ検索結果上位に表示される必要があるからです。また、コンテンツの評価軸がPVのみになっていないかという点も確認しましょう。コンテンツを覗きに来る人がいくら多くても、アクションにつながらなければマーケティング用には使えません。ユーザーがコンテンツにたどり着いた後にどのような行動をとっているかも分析できると、問題点を洗い出すことにつながります。

 

9-2.データとの紐づけを行う

 

効果の出ていない既存コンテンツをマーケティング用に改変するためには、データとの紐づけを行い、データに連動する形に整備していくことが欠かせません。データの裏付けとして、キーワードの関係性について考えるところから始めましょう。検索上位のキーワードから、ユーザーが何を知りたがっているのかを精査することが大事です。キーワードから、ターゲットユーザーの疑問が見えてきたら、ユーザーの視点に立ったコンテンツへと改変することができるようになります。

 

企業側が一方的にユーザーに向けて伝えたいことを発信するだけのコンテンツでは、マーケティングには向きません。コンテンツマーケティングでは、ユーザー側から情報を求めにやってくるので、ターゲットユーザーが何を知りたがっているのかを意識してコンテンツを作り込むことが重要です。そのためには、データとコンテンツが適切な形で結びついている必要があります。マーケティング用に既存コンテンツを改変するうえで、データとの紐づけは大事なポイントになります。

 

9-3.タスク管理を行う

 

効果の出ていない既存のコンテンツは、作成時だけ注力し、公開後は放置した状態になっている可能性があります。コンテンツの効果を十分に発揮させるためにはしっかりタスク管理をして、常にコンテンツ作成と施策ごとの改善効果の検証を繰り返すことが大事です。タスクは管理表を作成して部署内全員でシェアするとよいでしょう。1人でタスク管理を行うと見落としやすいことも、複数で管理すれば見落としが減ります。

 

既存コンテンツの問題点が見つかりやすくなれば、解決もスピーディーに行われるようになるかもしれません。1人では管理に手が回らなくなってしまうような場合でも、部署全体で管理すれば助け合えます。常に繰り返す必要のある改善効果の検証もしやすくなるでしょう。

 

10.コンテンツマーケティングを行う際の注意点

 

コンテンツマーケティングは、単にマーケティング用のコンテンツを作って公開すればよいというものではありません。運用するうえで注意しなければならない点がいくつかあります。この段落ではコンテンツマーケティングを行う際の注意点について解説します。

 

10-1.継続的な運用が必要である

 

コンテンツマーケティングの効果を最大限に引き出すには、ユーザーの興味を引く質の高いコンテンツを提供することが欠かせません。しかも、コンテンツの評価を高い状態に保つためには、継続して発信することが重要です。コンテンツを作成し公開した後は、管理をしっかり行い、継続的に運用していく必要があります。

 

コンテンツマーケティングは、継続することが結果に結びつくことから、マラソンに例えられることがあるほどです。長い距離を走り続けることでゴールにたどり着くことができるため、マラソンに例えられます。マーケティングとしての結果が出やすいコンテンツは、継続的に発信されているものです。有益な情報の発信がコンスタントに行われることでユーザーの企業やコンテンツに対する信頼度は高まります。コンテンツマーケティングでは、継続して適切に運用できる社内での仕組み作りが重要です。

 

10-2.成果が出るまで長い時間を要することがある

 

コンテンツマーケティングの成果は、すぐに出るとは限りません。場合によっては、成果が出るまで長い時間を要する可能性もあります。コンテンツマーケティングでは、アクセス数が伸びても、それがすぐに成果に結びつくとは限りません。情報を集めに来ただけで、商品の購入やサービスの導入といったアクションは起こさないということは起こりえることです。しかし、すぐにアクションを起こさないからといって、購買の可能性がゼロかというとそうではない可能性もあります。アクションを起こすタイミングがまだ来ていないだけかもしれません。

 

コンテンツマーケティングを開始する際に使った費用に対する効果を予想するのは難しいことです。コンテンツを増やしながら、3カ月から半年以上継続していくことで、アクセス数が伸び始める傾向があります。成果が出るのはその後なので、忍耐強く続けることが重要です。成果が出るまでのタイムラグがあるというコンテンツマーケティングの性質を社内に周知することも必要になります。特に上層部や経営者に対しては周知を徹底して、理解を得ておくことが大事です。

 

11.BtoBコンテンツマーケティングの特徴

 

BtoBコンテンツマーケティングを行う際には、BtoBの特徴をしっかり理解したうえで進める必要があります。BtoBとはBusiness to Businessの略で、業者向けビジネスのことを指します。BtoBでのターゲットユーザーは、事前に製品やサービスについてリサーチを済ませており、サプライヤーに接触する前に商品の購入やサービスの導入を60%ほど決定していることが多いようです。BtoBでは、商品の購入やサービスの導入に対して決定権を持つ担当者が複数いることも少なくありません。そのため、コンテンツマーケティングとしての成果が上がるまでには時間がかかります。

 

購入意志の高いユーザーには自社商品やサービスの信頼に関わるコンテンツを用意することが効果的です。検討が進んでいないユーザーに対しては、自社が属する業界における基礎的な内容を勉強できるようなコンテンツを用意してもよいでしょう。時間はかかっても、信頼をつかめれば成果につながり、いったん成果を上げられれば継続的な利用に結びつく可能性があるのがBtoBです。

 

12.BtoCコンテンツマーケティングの特徴

 

BtoCでコンテンツマーケティングを行う際には、ターゲットユーザーそれぞれに決定権があることを意識してコンテンツを作る必要があります。BtoCとはBusiness to Customerの略で、比較的成果として商品の購入やサービス導入に繋がりやすい傾向があります。BtoCコンテンツマーケティングは、BtoBの場合と比較すると、ターゲットユーザーの趣向や行動様式がまちまちです。ユーザーごとによって異なる部分が多いため、細かくターゲットユーザーを絞って取り組む必要があります。

 

BtoBの場合と比べると、商品の購入やサービスの導入で動く金額が小さい分、ユーザーが商品やサービスの良さを感じたときにはそのまま購入につながりやすいのが特徴です。目に留まりやすいタイトルをつけたり、ユーザーが面白いと感じるコンテンツ内容にしたりすることが、成果に結びつくポイントとなります。ターゲットユーザーとなり得るユーザーの幅が広くなる分、BtoBに比べてコンテンツの幅も広く取る必要があるでしょう。

 

13.コンテンツマーケティングを効果的に行うポイント

 

効果的なコンテンツマーケティングとはどのようなものでしょうか。マーケティングとして効果が出やすいコンテンツと出にくいコンテンツがあることは事実です。この段落では、コンテンツマーケティングを効果的に行うためのポイントについて解説します。

 

13-1.競合他社のコンテンツマーケティングを分析する

 

ターゲットユーザーが重なるような競合他社がある場合、競合他社もコンテンツをマーケティングに使用しているなら、その内容や運用状況を分析することが必要です。競合他社がマーケティングに活用しているオウンドメディアやSNSの運用状況などを分析すると、自社コンテンツの問題点や改善に必要なアイデアが浮かびやすくなります。自社と競合他社のコンテンツを比較し、どのような点が違っているのかを確認しましょう。そのうえで、改善点を洗い出すことが大事です。そうすることで、競合他社よりも有用なコンテンツに仕上げられるようになります。

 

特に、自社で提供しているコンテンツが成果に結びついていないように感じられるときには、競合他社のコンテンツ分析が重要です。自社コンテンツと競合他社のコンテンツを見比べることで、改善が必要な点が浮かび上がるので、有用なコンテンツへの改変もしやすくなります。

 

13-2.インサイドセールスとの相乗効果を狙う

 

コンテンツマーケティングを行うなら、インサイドセールスとの相乗効果を狙うのがおすすめです。インサイドセールスとは、見込みユーザーに対して企業側からコンタクトを取ってアプローチを行うことをいいます。コンテンツマーケティングは、成果が上がるまで時間がかかるのが普通です。インサイドセールスと組み合わせることで、コンテンツマーケティング単独で行う場合よりも、早く成果が上がる可能性が出てきます。コンテンツマーケティングでターゲットユーザーとの信頼関係を作りながら、インサイドセールスで商談化や顧客化を狙うのがポイントです。

 

13-3.1つのコンテンツを様々なチャネルで利用する

 

コンテンツマーケティングでは、1つのコンテンツをさまざまなチャネルで利用できるようにすることが有効です。そもそもコンテンツには1つのチャネルでしか使えないというような縛りはありません。1つのコンテンツを複数のチャネルで発信できるようにすることで、コンテンツ作成の負担を大幅に減らせます。たくさんのコンテンツを作らなくてもよいので、1つのコンテンツをしっかり作り込み、質を高めることが可能です。

 

例えば、テキストコンテンツを1つ作成し、それをオウンドメディア、ブログ、メールマガジン、SNSといった複数のメディアで利用するようにすれば、チャネルごとのコンテンツを作成する必要がなくなります。コンテンツマーケティングでは継続的に発信し続ける必要があるので、コンテンツ作成の負担を軽減することは、とても重要なポイントです。

 

14.コンテンツマーケティングの効果測定方法

 

コンテンツマーケティングの効果は十分に期待できるものですが、いつどのような成果が出ているのかが見えにくいと指摘されることがあるのも事実です。この段落では、コンテンツマーケティングにおいて、どのような効果測定をすればよいのかを解説します。

 

14-1.KPIを確認する

 

コンテンツマーケティングの効果測定方法の1つに、KPI(Key Performance Indicator)という効果測定指数を確認する方法があります。重要業績評価指標という意味で、目標の達成度合いを測るための指標です。KPIとなり得るものとしては、コンテンツへの流入数や訪問回数、平均滞在時間、サイト離脱率などが挙げられます。

 

KPIを利用した効果測定では、事前に確認すべきKPIを選び、目標を設定することが必要です。定期的にKPIが目標を達成できているか確認し、目標を達成できていない場合は原因を分析します。細かく目標設定をし、結果に応じてコンテンツの改善を行うことが重要です。KPIの確認にはアクセス解析や分析のツールを利用すると良いでしょう。

 

14-2.適切な期間で確認する

 

コンテンツマーケティングの効果測定は、適切な期間で確認することが重要です。例えば、テキストデータで構成されたコンテンツは、アップロードから検索エンジンに評価され、表示されるようになるまで、1週間から1カ月はかかります。表示されるようになる前に効果測定を行っても意味がありません。一般的にコンテンツを作成したことの効果が表れるまで、半年以上の期間が必要です。すぐに効果が出ないからといって、頻繁にコンテンツを作り替えていると、かえって逆効果になります。

 

ただし、業種によって効果が出るまでの期間に差があるため、一概にどのタイミングで確認するのが正しいとは言えません。就職や不動産関係などは1年以上精査することもあります。逆に、修理などの場合は1日以内で業者を決めてしまう場合もあるので、業界の傾向を確認することも必要です。いずれにしても、WEBサイトそのものがコンテンツマーケティングの効果を発揮するには1年以上かかる場合が多いといえます。検討に時間がかかる業種なら、それ以上かかる可能性が高いということも知っておきましょう。

 

15.コンテンツマーケティングの運用体制を整えるポイント

 

コンテンツマーケティングはコンテンツを作成して公開すれば終わりとはならないため、運用体制を整えてから導入することが大事です。この段落では、コンテンツマーケティングを導入するにあたって、社内運用体制をどのように整えればよいかということについて解説します。

 

15-1.運用部門について【担当部門を作る場合】

 

コンテンツマーケティングを行う際に担当部署を設置して、運用を専門に行うという選択肢があります。コンテンツマーケティングは他業務との両立が難しく、時間と人員の確保が必要です。運用を始めてから他部署や他の社員との亀裂を生まないようにするためにも、運用に関するトップダウン体制を作っておくようにします。

 

新たにコンテンツマーケティング専用の運用担当部門を作る場合、情報配信への知識や経験のない人が担当することになりがちですが、それは避けることが大事です。コンテンツマーケティングの重要性を考えた場合、継続的にコンテンツの分析を繰り返し、管理していく必要があります。目的や、配信するコンテンツ内容の雰囲気、表現方法についてガイドラインを作成することも必要です。ガイドラインは関係者全員の認識を合わせて作成することが大事なポイントになります。ガイドラインが無い場合、自社の方針とは異なるアピールをしてしまったり、無難な内容ばかりを配信してしまったりして、コンテンツマーケティングの効果が薄れてしまうことがあるので注意が必要です。

 

15-2.運用部門について【外注する場合】

 

コンテンツマーケティングを行う際に、運用の一部または全てを外注することもできます。コンテンツの作成や運用を外注しても決定権は企業側にあるので、外注先との内容・方針の擦り合わせが重要です。コンテンツ作成については、ルールとしてコンテンツ作成時の雰囲気やマナー、NGワードなどを設定しておくことが重要になります。外注先と緻密な連絡をして、認識を共有することが大事です。どれだけ認識の共有ができているかによってコンテンツの完成度が変わってきます。

 

情報共有やルールの明確化をしないで外注すると、外注先はインターネット上から拾ってきた情報を使うことしかできません。そうなると、ユーザーの関心を引くようなコンテンツにはならない可能性が高くなります。それでは、成果とは結び付きにくくなるため、わざわざ外注してまでコンテンツを作成、管理をしてマーケティングを行う意味がなくなってしまうでしょう。運用を外注する場合は、外注先との情報共有やルールの明確化は最低限必要なことです。

 

15-3.予算について

 

予算計画を立てるタイミング以外でコンテンツマーケティングを行う場合は、新規予算を獲得するのは難しいでしょう。その場合は、既存予算を利用して、振替の形でコンテンツマーケティングの予算とする方法をとるのが一般的です。コンテンツマーケティングには広告効果もあるため「広告宣伝費」の一部として計上できる場合もあります。コンテンツの性質上Web関連製作費の一部として計上することもできるでしょう。SEO対策に予算を立てている場合には、検索からの流入も見込めるため、コンテンツマーケティングの費用をSEO対策費の一部として計上することも考えられます。どの部分の予算を利用するかは、それぞれの企業の考え方による部分です。社内で話し合って、納得の得られる形に収めるようにしましょう。

 

15-4.社内理解度について

 

コンテンツマーケティングを行う際は、社内の理解を得る努力も必要です。コンテンツマーケティングは、継続して行う必要がありますが、成果が上がるまでに時間がかかります。コンテンツマーケティングを継続して管理、運用していくためには、コンテンツマーケティングの運用目的を社内、特に上層部に周知することが必要です。コンテンツマーケティングはその性質上、成果を売り上げだけで表すことができません。そのことを理解してもらったうえで、「何を目的として行うのか」を明確に示す必要があります。しかし、明確な目標を立てるのが難しいため、プロジェクト自体が自然消滅する事例が数多くあるのも事実です。せっかく導入したコンテンツマーケティングが自然消滅してしまうことにならないように、社内の理解度を高めることが重要です。

 

16.コンテンツマーケティングを自社運用するメリットと問題点

 

コンテンツマーケティングを自社運用することは可能です。しかし、メリットがある一方で問題点もあります。この段落では、コンテンツマーケティングを自社運用するメリットと問題点について解説します。

 

16-1.メリット

 

コンテンツマーケティングを自社運用するメリットは、費用が抑えられるという点が大きいかもしれません。コンテンツの作成や管理を外部に委託すると費用がかかりますが、自社で運用すると、費用をかなり抑えることができます。コンテンツの作成が完了すれば、添削や修正に関してマーケティング会社とやり取りする必要がありません。自社の判断で進められるため、公開までがスピーディーです。

 

16-2.問題点

 

コンテンツマーケティングを自社運用する場合の問題点としては、コンテンツのクオリティが挙げられます。マーケティング向けのコンテンツを作るための知識や技術がなければ、ターゲットユーザーを満足させられるようなコンテンツを作ることができません。コンテンツの質を向上させるためには、専任スタッフが必要になります。特定のスタッフがコンテンツの制作を担当することになるため、コンテンツ内容がマンネリ化してしまうことがあるかもしれません。継続した運用ができずに自然消滅してしまう可能性もあります。コンテンツマーケティング情報などを熟知していないと効果の出る運用ができないという点も問題です。

 

17.コンテンツマーケティングを外注するメリットと問題点

 

コンテンツマーケティングを外注する場合も、メリットばかりではありません。当然のことながら問題となる面もあります。この段落ではコンテンツマーケティングを外注することのメリットと問題点について解説します。

 

17-1.メリット

 

自社でコンテンツマーケティングを運用すると、コンテンツマーケティングを始めることが決まっても、稼働までこぎつけられないことがあります。ノウハウ不足でコンテンツができあがらなければ、プロジェクト自体が自然消滅してしまうかもしれません。その点、きちんとしたノウハウを持った外注先に依頼すると、確実に稼働させることができます。

 

特に、コンテンツは作成する人のクセが表れやすいため、外注することでコンテンツ作成者が多数になれば、その分コンテンツの内容も幅を持たせることが可能です。外注先の提案によって、固定概念を捨てたマーケティングを行うことができるようになれば、これまで取りこぼしていた層のユーザーを獲得できる可能性も生まれます。

 

17-2.問題点

 

コンテンツマーケティングを外注する際に起こりやすいのが、情報の共有不足やすり合わせ不足の問題です。専門的な分野においては、外注先の知識不足がコンテンツに反映されてしまうことがあり得ます。専門的な知識に関しては外注先との共有を行ったり、情報源の提供を行ったりすることで対処するのがおすすめです。コンテンツ作成のルールが徹底されていない場合は、ルールが反映されない場合もあります。ただし、利用不可リストや表記統一リストなどの細かなルールを事前に共有しておけば対処することが可能です。

 

外注先と自社が発信したい内容にズレがある場合は、思ったような内容のコンテンツに仕上がらないこともあり得ます。しかし、この場合も、事前にターゲットユーザーの情報などを指定・提示することでズレを軽減させることが可能です。

 

有効なコンテンツマーケティングの鍵は継続と分析

コンテンツマーケティングで納得のいく成果をあげる鍵は2つあります。1つは継続的に運用すること、もう1つはコンテンツの運用度を分析しながら改変していくことです。現状を客観的に見て、自社での運用が可能か外注すべきかを冷静に判断することも重要なポイントになります。外注の際には費用が発生しますが、委託費以上の効果を得られるかもしれません。継続と分析が可能な環境を第一に考えることが大事です。

 

著者情報

横窪 勇太

株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト

横窪 勇太Yuta Yokokubo

明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。