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2022.01.29

中国版LINEと言われるWeChatを提供するテンセントから学ぶプラットフォーム戦略とは?

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深圳は人類史上最速で進化する未来都市と言われるほど、スピードで進化を続けています。

その深圳に令和元年初日に訪問し、スタートアップ企業から中国を代表する有名企業様の話を聞いてきました。

本当に色々な学びがあったのですが、今回のコラムでは「プラットフォーム戦略」

というテーマに絞ってお伝えさせていただきます。

 

●プラットフォームとは

プラットフォームと聞くと、IT企業が作った「システム」を想像する方が多いのではないでしょうか。

私もそう思っていました。

今回の視察で無印良品を展開される、良品計画様のお話をお聞きしたのですが、

「MUJI HOTELは良品計画のプラットフォームです」とおっしゃられたことでプラットフォームの捉え方が変わりました。

ホテルがプラットフォームってどういうこと?

とその時はうまくホテルとプラットフォームがつながらなかったのですが、船井上海のメンバーに話を聞くと、

中国企業はどんな小さい企業でも自社のプラットフォームを持っていたり、または持とうとしていたりするそうで、

中国人経営者は「あなたの会社のプラットフォームは何か」と質問されるそうです。

小さな会社でも作れるプラットフォームというのは何だろう・・・とプラットフォームをインターネットで検索すると、

「プラットフォームとは、周辺よりも高くなった水平で平らな場所(台地)をさす英語。

転じて、官公庁の施策における”環境(整備)”、”基盤(づくり)”、ソフトウェアやシステムにおける”動作環境”、

作業をするための”足場”の意で用いられている。」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

と書かれていました。

周辺よりも高い「台地」という元の言葉を経営の視点でとらえると、「顧客が集まる場」と考えるとシンプルです。

良品計画様もMUJI HOTELは「無印良品の商品を知ってもらうに最適な場所」としてプラットフォームと捉えていると

おっしゃっていました。

顧客が集まる場とすると、中小企業にもプラットフォームは持てるし、もう持っていると感じました。

 

●プラットフォーム戦略~5つのステップ~

ではプラットフォームを活かした戦略を立てるということではどうでしょうか。

プラットフォームを意識する中国企業から共通する5つのステップを発見しました。

①顧客が集まる場を作る

②集まった顧客が喜んで情報、時間、お金を提供したくなるようなサービスを提供する

③永遠に離れられないぐらい中毒化させる

④マネタイズをする

⑤顧客体験の改善を高速で行う

先ほど挙げた良品計画で考えると、

①の場所はMUJI HOTELです。

②では、MUJIHOTELでは、無印良品の世界観にどっぷり浸かれる空間とサービスを提供しています。

③では、MUJIHOTELによって、無印良品の商品やサービスの新たな魅力を発見することにより、

 顧客自身が自分のライフスタイルに取り入れたくなるようにしています。

④は、ホテルの宿泊費ですね。

 またHOTELで体験した商品を自宅でも使いたいと今まで以上に商品を購入してもらえるようにしています。

⑤は、ホテルに宿泊してもらったお客様からお声をもらえるので、

 顧客の声を活かしてMUJIHOTELはもちろん無印良品の商品の改善をしていきます。

良品計画様以外の視察先でも当てはめてみます。

例えばテンセント様です。

テンセント様はゲーム事業で有名な会社ですが、日本人にはあまり親しみがない企業様かもしれません。

この会社様は、WeChatというLINEのようなサービスを持たれています。

このWechatが、顧客が集まる場所で、テンセント様のプラットフォームになっています。

このWeChatが①になります。

②は、WeChatで友人・知人とコミュニケーションをとる中国人がほとんどです。

日本人も最近はメールよりもLINEを使いますよね。あの感じです。

このWeChatは無料で使えますので、テンセントはWeChatを使ってもらうことによって、

顧客から「時間」を使ってもらっています。

③の中毒化させるところは、

もはやこのWeChatがないと友人・知人とコミュニケーションが取れないとさせているところですね。

日本でも新しくできた友達とは、電話番号もメールアドレスも交換せずLINEで繋がるケースが多くなっていますので、

LINEがなくなると困ると同じ感覚で中国人もWeChatがないと困ります。

さらにWeChatはLINEPay のようにWeChatPayというモバイル決済も可能です。

中国では日本よりもモバイル決済が進んでいて、むしろ現金が使えない店のほうが多くなってきているので、

WeChatがなくなると、生活ができないレベルまで浸透しています。

④のマネタイズでは、WeChatユーザーに対し、ゲームやデリバリーサービス、音楽配信サービス、

シェアバイクなど様々な商品・サービスを展開し、ここで売上を上げています。

⑤の顧客体験の改善への取り組みは相当力を入れていらっしゃり、

プロジェクトマネージャーは1ヵ月1対1でユーザーインタビューを10人の人に60分必ず行い、

オンラインで100人のユーザーの悪評を見て、1ヵ月以内に競合商品文章・情報を1000個見ているそうです。

2社のプラットフォーム戦略をご紹介しましたが、

御社にこの5つのステップに当てはめるとどのような戦略がつくれそうでしょうか。

令和が始まって気づけばもう1ヵ月過ぎています。

新しい時代を勝ち残っていくには、自社の強いプラットフォームを築くことが重要になってくると思います。

本コラムに関する内容に興味のある方は、ぜひお問合せください。

著者情報

横窪 勇太

株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト

横窪 勇太Yuta Yokokubo

明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。