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2022.01.29

デジタルマーケティング戦略で企業は何を目指すのか?

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デジタルマーケティングとは何か?を定義すれば、

『自社顧客の成功を定義し、顧客を成功へ導くためのブースターのようなもの』となります。

長い間、企業の収益活動は商品・サービスを販売することを主としてきました。

その後、多くの企業は顧客のリピート率という指標を採用することで、

商品・サービスの販売中心の考え方に加えて、徐々に顧客中心の考え方を取り入れてきました。

顧客中心の考え方は、単に顧客のリピート率を高めるだけではなく、

今や自社の顧客に対して自社が考える顧客の成功イメージを提示し、

それを実現するためのプロセスに応じた商品・サービスを提供することが必要とされつつあります。

こうしたビジネスモデルの変化を『“商品・サービスの提供”から“顧客の成功プロセスの提供へ”』といいます。

企業は何のためにデジタルマーケティング戦略に取り組むべきかといえば、

間違いなく『顧客の成功プロセスの提供』を目指したビジネスモデルによって企業収益を高めるためです。

ですから、目の前の消費者に対して商品やサービスを販売することで完結するビジネスモデルを追及する企業にとっては、

必ずしも必要な戦略ではありません。

もっと言うと、デジタルマーケティング戦略が何となく必要そうだからといった曖昧な動機に依るべきでは決してありません。

自社においてデジタルマーケティング戦略を導入するのかどうかを判断するのに当たっては、

下記5つの取り組みを実行するのかどうかを検討されることをおすすめいたします。

①自社顧客に対して自社が考える顧客の成功イメージを提示する

②顧客の成功を実現するためのプロセスを可視化したいくつかのステイタスを設定する

③ステイタス毎に顧客を成功に近づけるための商品もしくはサービスの提供する(商品・サービスの連続的提供)

④顧客のステイタスや商品・サービス等の利用および行動履歴の蓄積する

⑤蓄積した顧客の行動履歴を活用して新たな企業の収益源にする

上記5つの取り組みが今後の自社に必要だと思われる方には、

デジタルマーケティング戦略の導入を強くおすすめ致します。

ここで注目していただきたいのは、④と⑤で提示した“顧客の行動履歴の蓄積と活用”です。

これをデジタルアセット(資産)マネジメント戦略といいます。

顧客の行動履歴などのデジタル資産は、人・モノ・金に続く第四の経営資源となり得るものと考えるべきです。

長い間企業は人・モノ・金を通じて収益を高めてきました。それにデジタル資産が加わるということです。

最も分かりやすいデジタル資産にYoutubeのチャンネル登録数があります。

それによって人・モノ・金の何も持たなかった個人がYoutuberという新たなプロフェッショナルになり、

今や企業にも負けない収益を得るようになりました。

つまり、デジタル資産という新しい資産の蓄積があるか無いかによって、

今後企業の収益力に大きな差が生まれる可能性があることを示しています。

デジタルマーケティング戦略における最も有益なデジタル資産は“顧客の行動履歴”です。

自社顧客に対して顧客の成功プロセスを提示するといった顧客中心の考え方は、

間違いなく企業の収益性を高めるものです。

しかしながらその一方で、顧客の購買履歴や行動履歴のマネジメント手法が複雑化するといった懸念材料があります。

顧客中心の考え方は以前からあったものの、

マネジメント手法の複雑さを理由に取り組みとしての優先順位が上がらなかったわけです。

それがなぜ今マーケティング戦略として注目を集めるのかといえば、

最近のデジタルマーケティングツールの進化と低価格化が、

こうした障壁を排除し且つ更に優れた戦略的手法として提示されるようになったからに他なりません。

今回のコラムでお伝えしたかったことは、

デジタルマーケティング戦略を時流に乗った方法論として捉えるのではなく、

今後の企業戦略を“商品中心”から“顧客中心”への移行することを決断した上で、

顧客の成功を定義し、顧客を成功に導くための戦略手法として捉えていただきたいということです。

デジタルマーケティング戦略は、近い将来あるべきマーケティング戦略の実現へと企業を導いてくれると考えています。

まずは、顧客の成功を定義することから始めてみませんか?

著者情報

横窪 勇太

株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト

横窪 勇太Yuta Yokokubo

明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。