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EC経営.com

2023.02.08

【EC業界】今後の最新市場動向の概要、トレンド、課題を解説

【EC業界】今後の最新市場動向の概要、トレンド、課題を解説

EC経営.com編集部です。船井総研では、各業種テーマの専門コンサルタントが、日々無料ダウンロードレポートとして業界テーマの動向であったり、お役立ち情報を発信しております。今回はEC業界の今後について解説いたします。

EC業界の概要

まずはEC業界についての概要を解説いたします。

ECとは

ECとは「Electronic Commerce」の略で、電子商取引のことです。電子商取引とは、電子的に行われる売買などの取引全般のことを指します。これは、消費者がインターネット上でモノを売買する場合に限らず、企業間でプライベートネットワークを使用してサービスを売買する取引なども該当します。

ECの種類

またECには、
(1)消費者向け電子商取引(BtoC-EC)
(2)企業間電子商取引(BtoB-EC)
(3)消費者間電子商取引(CtoC-EC)

の3つのタイプがあります。

消費者向け電子商取引(BtoC-EC)は、ビジネスと消費者の間で行われる電子商取引です。企業が消費者に対して商品やサービスを提供する形態で、オンラインショッピングなどが該当します。

企業間電子商取引(BtoB-EC)は、ビジネスとビジネスの間で行われる電子商取引です。卸売りや生産物資の調達などが該当します。

消費者間電子商取引(CtoC-EC)は、個人と個人の間で行われる電子商取引です。個人が他の個人に対して商品やサービスを提供する形態で、フリーマーケットアプリやオークションサイトなどが該当します。

EC業界の市場規模

EC業界の市場規模とEC化率はともに年々上昇してきており、ECビジネスは2024年ごろまでに急速に成長し、市場は飽和することが予想されます。

EC業界今後のトレンド

次にEC業界の今後の5つのトレンドについて解説いたします。

顧客のニーズに合わせた価値の提供(パーソナライゼーション)

パーソナライゼーションとは、個人の属性や購買行動に最適化したサービスを提供するマーケティング手法です。従来までの不特定多数を対象としたマスマーケティングと違い、ユーザー1人1人のニーズに応える、きめ細やかなサービスを提供するのが特徴です。

ECでのパーソナライゼーションのメリットとして、顧客の囲い込み、継続的な関係の構築、購入体験・ブランドイメージの向上などが挙げられます。

具体例としては、MEDULLA (メデュラ) は国内初のカスタマイズシャンプーを販売するD2C企業です。ユーザーは商品を購入する前にサイト内で10個の質問に回答し、この結果からユーザーの髪質を診断し、3万通りの候補からパーソナライズ化されたシャンプーを購入することができます。

オムニチャネル

オムニチャネルとは、企業が顧客との接点をオンライン・オフライン問わず結合・連携させ、販売促進や購買体験の向上を目指す戦略です。

オムニチャネル化することで、顧客は希望するチャネルで商品を購入することができ、顧客満足度が向上します。また、顧客のデータを一元管理することで、顧客の管理や分析がしやすくなります。さらに、各チャネルを連携させることで販売の機会損失を防ぐことができます。そして、日常業務の効率化も期待できます。

EC業界におけるオムニチャネル化の具体例として、国内の成功事例としては、ユニクロ、資生堂、イオン、良品計画(無印良品)、ビックカメラなどが挙げられます。これらの企業は、ECサイトと実店舗の間の垣根をなくし、売り上げや顧客満足度を向上させる戦略を実践しています。

D2C(Direct to Consumer)

D2C(Direct to Consumer)は、メーカーやブランドが自ら企画・製造した商品を、従来のように問屋や小売業者を介さずに、自社のECサイトを使って直接消費者に販売する仕組みです。

D2Cには、中間業者を介さないビジネスモデルのメリットとして、余計な仲介手数料が発生しないことが真っ先に浮かぶかもしれません。しかし、D2Cには利益率の高さ以外にもさまざまなメリットがあります。例えば、売り手のビジョンや思想を顧客に伝えられること、一人ひとりの顧客の声を聞けること、顧客データをもとに良い商品を開発できること、ブランドロイヤルティを向上できることなどが挙げられます。

具体例としては、日本で注目されているD2CブランドにCOHINAやsnaq.meなどがあります

インフルエンサーを活用したライブコマース

ライブコマースとは、インターネット上のライブ動画配信機能・サービスを活用し、ネットショッピングによる購買を促す販売手法のことです。具体的には、販売したい商品やサービスについて訴求する目的でライブ動画を配信し、視聴者をECサイトなどに誘導します。視聴者は、配信者にリアルタイムで質問したり、欲しいと感じた商品をすぐに購入したりすることが可能です。

ライブコマースでは、テキストや写真だけでは伝わりにくい情報を伝えられるとともに、リアルタイムで双方向のコミュニケーションが生まれるため、視聴者の購買意欲を高めやすいメリットがあります。

さらにインフルエンサーを活用した場合のメリットとしては、新規顧客獲得のチャンスになることが挙げられます。インフルエンサーがライブコマースを行うことで、そのインフルエンサーのファンが商品を知ることができます。

具体例としては、中国ではたった1日のライブコマースで数億円を売り上げるインフルエンサーも登場しています。

越境EC

越境ECとは、国境を越えた電子商取引(EC)を意味します。具体的には、日本のECサイトで海外の顧客向けに商品を販売することを指します。

越境ECのメリットとしては、海外ユーザーを獲得して売上を伸ばせることが挙げられます。また、実店舗よりもコストを抑えながら出店できることもメリットの1つです。さらに、他言語に対応することでさまざまな国に展開できることもメリットです。

具体例としては、中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額が拡大しております。

EC業界の課題

多様な決済手段への対応

EC業界において、多様な決済手段への対応が課題になっている理由として、顧客のニーズの多様化が挙げられます。EC市場の成長に伴って、EC利用者の数が増え、ECショップに求められる利便性も多様化してきています。決済方法をバリエーション化することの必要性も、そうした消費者の多様性を背景としたものだといえます。

例えば、クレジットカードを持っていない若い世代のEC利用が増えたことで、クレジットカードを使わない新しい決済方法のニーズが出ています。また、ユーザーが求める決済方法がないと離脱します。つまりカゴ落ち率が高くなる傾向があります。

最近では、便利な決済代行サービスが登場しているため、EC事業者が対応しやすい状況になっています。例えば、GMOペイメントゲートウェイは、クレジットカード決済やコンビニ決済など、さまざまな決済方法を選択できる通販・ECサイト向けの総合決済システム「PGマルチペイメントサービス」を提供しています

セキュリティの強化

ECサイトにおいて、セキュリティ強化が必要な理由として、個人情報の漏洩やクレジットカードの不正利用などが挙げられます。

例えば、ECサイトのシステム上の脆弱性を狙って、WEBサイトを改ざんし偽の入力フォームを作成することがあります。顧客が偽入力フォームに入力したクレジットカード情報を使って不正使用されることがあります。

また、ECサイトの運営者がセキュリティ対策を怠ると、個人情報が漏えいする、顧客のクレジットカードを悪用される、Webサイトが改ざんされるなどの被害にあう恐れがあります。これらの被害により、数千万〜数億円規模の多額の賠償金が発生したり、会社の社会的信用を失ったりと、運営会社にとっての損害は大変大きなものとなります。

具体的なセキュリティ対策としては、不正アクセスを防ぐ、バグ・セキュリティホールを防ぐ、ワーム・ウイルス感染を防ぐ、ユーザーデータを適切に保護管理する、ユーザー認証システムを強化する、社員へのセキュリティ教育を徹底するなどが必要となります

リピーターやファンがつかない

ECサイトに訪れるユーザーを増やすためには、広告費用や労力がかかりますが、リピーターが繰り返し購入してくれるようになれば、安定して売上を上げられるだけではなく、広告費用が抑えられるため利益も大きくなります。

リピーター獲得の重要性は、利益につながりやすいメリットがあるのですが、獲得が難しいという声もあります。リピーター獲得のためには、広告やSEOといった新規顧客の集客とは異なる施策が必要です。

まとめ

今回は「EC業界について」と「今後のトレンド」と「EC業界の課題」について解説いたしました。

コロナ禍によって実際EC化率(人々のECでの取引する割合)は急速に増えましたし、人々の生活様式は確かに変わりましたが、それは業界が全く別の新たなステージに変わったわけではありません。

それぞれの業界、テーマにはライフサイクルがあり、コロナ禍によってそれぞれの業界のライフサイクルが急速に進んだというのが船井総研の考え方になります。

ライフサイクルが進んだことにより対応すべきことが増えましたし、コロナ禍を機に自社の事業を見つめ直す機会が増えたかと思います。

本当に今のままでいいのか。今の事業だけではこの先細っていってしまうのではないか。

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著者情報

脇坂 修也

株式会社船井総合研究所
ECソリューションユニット コンサルタント

脇坂 修也Shuya Wakisaka

関西学院大学商学部を卒業後、2022年に新卒で船井総合研究所に入社。これまでHP制作やWEB広告といったデジタルマーケティングを通じて、リフォーム会社、皮膚科クリニックの業績アップや効率化、活性化を経験。2023年よりB to B、B to C向けのEC事業の立ち上げや業績アップ支援を中心に行っております。
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