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2022.01.29

成果が出せるマーケティング分析の方法とは?代表的な手法とポイントをご紹介!

成果が出せるマーケティング分析の方法とは?代表的な手法とポイントをご紹介!

基本的なマーケティング分析のフレームワークを使用することにより自社の課題が可視化されます。3C分析、PEST分析(マクロな視点での市場分析、5フォース分析ミクロな視点での市場分析を解説します。

1.マーケティング分析の必要性

マーケティング分析の方法は様々ですが3C分析、PEST分析などフレームワークを活用したマーケティング分析はなぜ必要なのでしょうか。自分なりにデータを収集することも可能ですがそれだと重要な要素を見落としてしまい、データを活用する際にデータの分類が上手くできません。

代表的な分析方法を見ていくことでどのように情報を整理していくのかを見ていきましょう。

3C分析を中心としてPEST分析、5フォース分析などの代表的なフレームワークを取り上げ、活用方法を解説します。

自社の環境を把握し、自社の立ち位置を認識することで事業全体を考える上では不可欠な分析になります。

2.3C分析の活用

3C分析の目的はCompetitor(競合Company(自社Customer(市場、顧客の三つの要素から分析を行うことで事業の成功方向性を導き出すことです。3C分析の中にはPEST分析、5フォース分析も含めることのできる幅広いテーマを扱う分析ですので最初にマーケティング分析を学ぶのに最適な分析方法だと言えるでしょう。

3C分析

図1 3C分析

Customer(市場、顧客は市場の成長性、顧客の動向の分析を意味します。市場と顧客の状態をつかめないまま競合や自社の評価をすることは難しいためこの分析が最初の手順となります。

具体的な分析方法としてマクロとミクロの二つの視点で分析を進めていくことをお勧めします。

マクロの視点では政治、景気、法律、人口など国の単位でみた分析をします。

Competitor(競合)の分析では競合他社の売上、社員の数、シェア率などの分析を行います。ここでは競合が市場の変化にどのように対応しているのかを見るのが重要となります。単純に売上や利益率など数字で分かる部分だけでなく、なにが原因でそうなったのかを分析していくことが必要になります。

営業、製品開発、品揃えなど様々な側面から競合を分析することにより、自社でも同じ方法を取り入れるのか、差別化していくのか判断が可能になります。

Company(自社)の分析では市場・顧客、競合の分析を経て自社ではどのような戦略をとるのかを決めていきます。

市場や顧客の動向、それに対して競合がどのような戦略をとっているのかが明らかになれば自社の経営資源や人員を加味し、方向性を導き出すことができるでしょう。

3.マクロな視点での市場分析(PEST分析)

先ほど3C分析でCustomer(市場、顧客を分析するにはマクロとミクロの視点が必要だと書きましたがここではマクロな視点での分析方法を取り上げます。

マクロな視点での市場分析の方法として事業の全体像を決めることのできるPEST分析が有効です。PEST分析ではPolitical(政治)、Economical(経済、Social(社会、Technology(技術などおおきな括りでの分析が可能となります。

なおこの4つの要素を分析していくことで企業経営に関するリスクを網羅的に抑えることが可能になります。PEST分析についてわかりにくいところは例を挙げながら見ていきましょう。

PEST分析

図2 PEST分析

まずは政治について把握するPoliticsについてみていきましょう。ここでは法律、政策、税金などどのように変化していくのかを見ていく必要があります。

法律の変化があり、業界の構造が変わることが頻繁にありますので注意を払うことが必要です。

次にEconomy(経済ですがここでは世界の経済の動き、日本国内の経済の動き、個人の消費量や株価などの分析を行うことにより経済の変動を把握し、今後の消費の流れを予測することで、不景気による損害を減らすことができます。

今売れている商品を把握しておくことでこれから売れると思われる商品の予測も可能だからです。

しかし消費の傾向だけでは正確な予測は難しいと言えるでしょう。そこでSociety(社会の側面からの分析が必要になります。Society(社会ではおもに社会の構造について分析していく必要があ ります。

代表的な社会構造は少子高齢化です。現在65歳以上の高齢者が3割を占める高齢者社会ですがこれからも高齢者の割合は増え続けることになるでしょう。

そこで高齢者向けのビジネスに挑戦をし、減少する若者向けのビジネスから撤退することにより人口が多い年代のビジネスへの切り替えも必要になります。

最後にTechnology(技術です。技術の進歩により新しい市場ができ、消費者のライフスタイルも大きく変わることがあります。最新の技術を確認しておくことが新たな需要の発見に結び付くのです。分かりやすい例としてスマートフォンが挙げられます。元々ガラ携を使用する人が多かったのですが技術力のある国からスマートフォンが普及し、ダウンロードのできるアプリケーションの種類が増え、画面のタッチをすることにより利便性が向上しました。

スマートフォンの利用によりスマートフォンアプリでビジネスを行い、SNSを活用したビジネスが増えました。技術の進歩によりビジネスの常識が大きく変わった一例だといえるのではないでしょうか。

以上がPEST分析の内容です。各要素から個人や社会のニーズが何かを分析していくことで外部環境の把握をし、戦略の検討ができます。

4.ミクロな視点での市場分析5フォース分析

これまで企業をとりまく外部の環境を見ていきましたが、次はミクロな視点で自社をとりまく業界がどのような影響を与えるのかを分析する方法について説明します。

ミクロな視点での分析には5フォース分析を用いると良いでしょう。

ここでも分析する際にわかりやすいように5フォース分析の具体的な例を挙げながら説明していきます。

5フォース分析では以下の項目を内的要因と外的要因に分けて分析を行います。

内的要因

買い手の交渉力、売り手の交渉力、競争企業間の敵対関係

外的要因

代替品・代替サービスの脅威、新規参入業者の脅威図

5フォース分析

図3 5フォース分析

内的要因

買い手の交渉力

初めに買い手の交渉力について説明します。買い手の交渉力とは自社の商品やサービスを提供する相手にどれだけ価格の交渉力があるのかということです。提供先が巨大な企業の場合バイイングパワー(購買力)が大くなり価格の交渉力が強いと言えます。また自社が他社の製品との差別化ができていない場合顧客は簡単に他社製品に乗り換えてしまうため、買いたたかれてしまします。この場合も買い手の交渉力が強いといえます。

売り手の交渉力

売り手の交渉力は供給元の企業が価格の主導権を持っているかどうかで決まります。仮に自動車を作る工場があったとしましょう。自動車の部品を特注で一つの工場にお願いしていた場合、その部品工場から部品を買い続けなければ自動車を作ることはできません。そのため部品の工場は価格の主導権が握りやすくなります。

競争企業間の敵対関係

業界内で競争が行われているかを分析します。寡占状態にある場合競争は少なく、一つの業界の中に小規模の企業が多い場合、競争率は高いと言えます。大企業が数社で寡占をしている場合大企業どうしである程度収益が出るように値下げ押しない状態を作り上げることができます。例えばアメリカのシリアル業界ではシリアルを売るのが限られた大手企業だけなので、競合同士でも値下げをしないのが暗黙の了解になっており、価格は下がりません。一方小規模企業がひしめく業界は値下げが勝手に始まってしまい、各々がわずかにしか利益が出ないところまで値下げをしてしまいます。結果的に小規模企業の多い業界は苦しい経営を強いられるのです。

外的要因

代替品・代替サービスの脅威他社の儲かっている事業を真似たとしても将来的にその企業と競争を強いられるためなるべく他社の代替品にならないように気を配らなくてはいけません。特に大手の企業が売っている商品は規模の経済で低価格を実現できるため同じものを作ったとしても価格で競争するのは難しいいえるでしょう。

新規参入者の脅威

買い手の交渉力、売り手の交渉力を考えた上で業界の中での有利な立ち位置を築いたとしても新規参入者の脅威があるため、競合の分析は欠かすことができないでしょう。収益性の高い事業を作り上げることに成功したとしても、他社も真似をして利益を奪いに来ます。自社にしかできない技術や巨額な投資をすることで参入障壁を築き上げることができます。

5.まとめ

3C分析を中心としてCustomer(市場、顧客をマクロとミクロな視点に分けて見てきましたが、重要なのは抜け漏れのない情報収集し、課題の可視化が可能になるようにフレームワークを活用することです。

マクロの分析、ミクロの分析、フレームワーク同士を組み合わせるなどして重要な情報を抽出しましょう。

著者情報

横窪 勇太

株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト

横窪 勇太Yuta Yokokubo

明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。