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2022.01.29

全業種可能!アフターコロナを生き残るサブスクリプションビジネスとは?

全業種可能!アフターコロナを生き残るサブスクリプションビジネスとは?

みなさまはサブスクビジネスを

「利用料金の分割払いサービス」と認識しておりませんでしょうか??

 

サブスクを様々な方が定義されておりますが

私としては

【定額利用料金の対価として顧客へサービス利用の権利を提供するモノ】

と定義しております。

 

ここで重要なことはモノやサービスを提供するのではなく【権利】を提供することが重要になります。

ここが既存の定期購入や定額利用と異なる部分で、ヘビーユーザーもいれば、ライトユーザーもいるため、

マネタイズが成立することになります。

 

これまでのビジネスと収益構造が違うのもポイントになります。

 

※従来のPLイメージ

※サブスクでのPLイメージ

 

【サブスク導入後の企業へのメリット】

(1)成熟産業への差別化ポイント

(2)新規依存ではなく既存客主体の収益化(ストック収益)

(3)データ分析による新規/追加提案が可能

 

この上記のメリットを我々のクライアントで実際にスタートした、

美容室が始めた「ヘアカラーし放題サブスク」をベースに考えてみます。

 

 

(1)まず美容室業界はオーバーストア化が進んでいる

成熟産業化することで、他社と差別化のできていないサロンが倒産、廃業している数が増えております。

(毎年増加しており2019年は過去最高ペース)

 

そんな美容室経営ですが差別化するポイントは

例えば技術面や取扱メーカーなど、複数あるのですが一番わかりやすいのが高価値(お得)/価格となります。

 

ですのでこの状況下で、とある美容室は

「ヘアカラー定額サブスクサービス毎月○○円でヘアカラーし放題!」というサブスクを始めました。

(価格に関してはサブスクビジネスにおいて非常に重要なポイントなのでここでは伏せさせて頂きます)

 

従来の業界構造では、「ヘアカラーは都度料金を支払うもの」という当たり前の概念がありましたが、

このサービスを打ち出す時点で差別化に成功するのです。

(色々ポイントはありますが詳細は伏せさせて頂きます)

 

 

(2)について、理美容業界ではエリアや規模によって多少変化はあるものの、

ある程度新規客に依存したビジネスモデルであると言えます。

(世の中のほとんどのサービスが新規依存型でもあります)

 

なぜならば、まずこれをお読みいただいているみなさま自身は、

美容室を利用した際、次回のサロン予約をどれほどの方が取られていますか?

また料金に関しては基本的に都度払いではないでしょうか?

 

サブスクにシフトしていくことで一番のメリットは、

「来月いくらの売上が入るのかを先立って可視化できること」がポイントになります。

 

またこれまでの顧客を会員(=一定の料金を継続的に支払ってくれる顧客)として取り扱うことができるので、

今の既存のサービスの価値も可視化することになります。

 

美容室経営でいうならばヘアカラーというメニューをサブスク化することで、来月の売上見込みを立てるだけでなく、

サブスクを契約している限りその顧客は生涯顧客として通い続けてくれることになるのも、

会員化として重要な指標と言えるのではないでしょうか?

 

(3)に関しては、サブスクサービスをスタートする際にどのツール(プラットフォーム)を利用するかが重要になり

単純に月額課金してくれるペイメントサービスだけではなく、顧客の利用状況や動向、嗜好性を可視化できるものや、

こちら側からキャンペーンやお知らせを配信できるもの、

また外部の予約サービスやシステムと連携するものが必要となってきます。

 

実際に導入している美容室ではサブスクプラットフォームを導入して、

お客様や現場スタッフの利便性を向上するだけでなく

メッセージの配信機能などを利用してトリートメントや物販の提案をおこない、

プラスの売上に繋げたり来店頻度が落ちてきた離脱しそうな顧客へリピート提案を行ったりされていらっしゃいます。

 

これまでリアル(アナログ)では提案できなかった部分を、サブスクを導入することで可視化することができ、

サブスク以外の既存ビジネスとのシナジー効果も生まれています。

 

まだまだ他にもサブスクを導入するメリットはあるのですが、

ここからはサブスクビジネスを始める上で成功するための2つのポイントをご紹介します。

 

(1)プライシング(価格設定/サービス設計)

(2)事業計画(投資シミュレーション及び利益計画)

 

上記が非常に重要で、サブスクにおいては大きな肝となります。

 

(1)に関してはエンドユーザーに提示する価格が

エンドユーザーのイメージする負担(定価)よりも低ければ低いほど、お得さを感じて利用欲が上がります。

 

一方で事業者目線からすればこの価格を高く持てば持つほど、

単一ユーザーあたりからの獲得金額が高くなり、利益に繋がりますが、おそらくユーザー数が伸び悩み、

あまり大きなボリュームになることなくそのビジネス自体が衰退していくでしょう…

ですから、理想はきちんとユーザーに支持される金額であること+利益のとれる価格に設定することが大事であり、

ここを間違えると将来性がなくなってしまいます。

 

(2)事業計画づくりに関しては具体的に目標ユーザー数の設定に加えて

そのユーザー数に到達するまでのスケジュール、

そこまでにかかるコストやシステム機能の付加などを計算する必要があります。

 

基本的にサブスク自体はユーザー獲得を先行して行うことが必要なので、

ある時期までは収支としてはマイナスになりますが、

反対に到達点を超えるユーザー数になると利益化に成功するモデルになります。

 

よってこの計画をなるべく正確に設定し、ズレがあったときは適した基準のもと修正する必要があります。

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

 

文章にすると難易度の高いビジネスという印象もあるかもしれませんが、決してそうではありません。

まずビジネスではどの業種でも市場性×競合性が重要になるかと思いますが

サブスク市場は成長が見込まれていることに加えて、競合がまだどの分野においてもあまり存在せず、

参入する時期としてはぴったりかと思います。

 

直近の業績アップといった意味でも、既存客とのシナジー効果を見込むことができ、

かつサブスク事業単体でも成長が見込める良いタイミングとなります。

 

ではなぜ?

サブスクビジネスが広がらないのか?

 

こちらは、まず単純に日本ではまだまだ導入期のフェーズであることが理由として挙げられます。

サブスク周辺のサービス(ペイメントやブプラットフォーム)が整備されていないことと

事例数が既存業種に比べて少ないこと、

そして運用を含めたノウハウを持つ人間が少ないことから浸透に時間を要していると考えられます。

 

ですが今後アフターコロナを含めた日本経済では

個人のありとあらゆる消費がまずはキャッシュレス化され、加えてサブスク化することで

一人当たりのありとあらゆる消費がサブスク化されていくと予想されます。

 

今、日本経済では、あらゆる業種で先行企業が一番店、トップシェアとして位置していることが多く、

このセオリーは今後も変わらないものでしょう。

ですがサブスク化することでこのポジション自体が大きく変化していくことになるかと思います。

著者情報

横窪 勇太

株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト

横窪 勇太Yuta Yokokubo

明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。