「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」の違い
最近耳にすることが急に増えてきたキーワードの1つが「デジタルマーケティング」ですね。
その一方で「Webマーケティング」というキーワードに触れる機会はすっかりと減ってしまったように思います。
その理由は、「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」の違いをうまく理解されていない方が多くいらっしゃることにあります。
マーケティングの専門家の中にも、「Webマーケティング」と「デジタルマーケティング」の違いを呼称の違い程度にしか考えていらっしゃらない方が多いのも事実です。
デジタルマーケティングで業績UPを達成するためのコツは、この「Webマーケティング」と「デジタルマーケティング」の違いを理解し、「Webマーケティング」と「デジタルマーケティング」を両輪として活用することなのです!
端的にお話すると、Webマーケティングとデジタルマーケティングを併用することで、見込み客を増やし、見込み客を見込み顧客として定量管理し、顧客のLTV(Life Time Value=継続注文回数×注文単価)をぐっと高めることで、業績UPを達成することができるようになります。
業績UPを達成するためのコツは“ツキの管理”であり、何よりツクことだと私たちは確信しております!
デジタルマーケティングは、今日皆さんの会社や事業にツキをもたらすことのできる最も時流に適応したマーケティング手法だと断言できます!
ようこそ、デジタルマーケティングの世界へ!
この記事を読み終えた皆さんは、業績UPに対するワクワクとドキドキが止まらないことになるでしょう!
1.デジタルマーケティングを実践するための必須条件は個人情報よりもマーケティングIDの取得
船井総合研究所の創業者である船井幸雄は、生前「超個別対応の時代がやって来る」と私たち船井総研社員に教えてくれました。
ですが、当時の私ときたら「なるほどなぁ、そんな時代が来るのかぁ」といった程度にしか思いませんでした。
まさか“超個別対応の時代”がデジタルマーケティングによってもたらされることになるとは、当時まだ若かった私には想像もできなかったわけです。
デジタルマーケティングを実践するための必須条件は、インターネットと接続環境にある顧客接点(タッチポイント)と接触したすべてのお客様にマーケティングIDを付番することです。
“マーケティングID”とは、名前や住所といった個人情報ではなく、個人が使用するスマートフォンやパソコンといった端末番号とお考えいただければほぼ間違いありません。
そして、このマーケティングID毎にスマートフォンやパソコンを通してユーザーの行動履歴が蓄積されていくのです。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの一番の違いはココです!
Webマーケティングはグループ管理であり、デジタルマーケティングはID管理です。
ID管理ということは、ユーザー一人一人の行動履歴を蓄積し、活用することを意味しています。
このマーケティングIDは会員登録や名刺交換を通じて、名前や住所といった個人情報や、役職属性や年齢属性といったデモグラフィック情報と後に紐付けることができます。
また、複数のスマホやパソコンを使用しているユーザーの端末もマーケティングIDに紐付けることができるようになります。
デジタルマーケティングを成功させるための本質を理解するためのコツがココにあり、まずはユーザー毎の個人情報を取得する前にマーケティングIDを取得し、会員登録などによる個人情報の取得の前に、マーケティングID別にユーザーの行動履歴を蓄積することが大切なのです。
2.デジタルマーケティングの成否はコミュニケーション手段が登録されているユーザー数(コネクション数)で決まる!
デジタルマーケティングによってもたらされた最も大きな変化は、“マーケティングの4Pと4C”として知られるフレームワークに“Platform”(マーケティング基盤)と“Connection”(繋がり)といった新たな項目を加わったことだと言えます。
これは私がコンサルティングの現場経験からフレームワークの変更を試みたものであって、抵抗感を感じる方がいらっしゃるかもしれません。
▽マーケティングの5P(4+1P)
①Product(製品・サービス)
②Price(価格)
③Prace(流通チャネル)
④Promotion(販売促進)
⑤Platform(マーケティング基盤)
▽マーケティングの5C(4+1C)
①Customer Experience(顧客体験)※
②Customer Cost(支出)
③Convenience(利便性)
④Communication(伝達)
⑤Connection(繋がり)
ここで皆さんに質問です。
Q.皆さんの会社のお客様の中で、連絡手段があるお客様は何人いらっしゃいますか?
リアルの流通小売業の苦戦が認知されるようになって久しくなりましたが、その一因とも云われるECとの一番の違いがココにあります。
食品スーパーなど、セルフ型の実店舗に多く見られる傾向ですが、よく来店されることが把握できている顔の見えるお客様であっても、連絡手段がないといった状況が多々あります。
つまり、特別なイベント情報を特別なお客様に告知しようとしても、チラシやTVCMといった、不特定多数のメディアを活用するしか仕方がないわけです。
これでは、SALEなどボリュームゾーンのお客様が反応しやすい企画しか告知できないことは当然ですし、何とより競合企業との差別化が難しいでしょう。
つまり、特別なお客様を囲い込むためにも、特別なお客様に向けて特別な企画を告知するために、デジタルマーケティングによる来訪前告知が必要なのが分かります。
だから、連絡手段のあるお客様の人数が大切なのです。
この連絡手段のあるお客様の人数のことをコネクション数と呼びます。
コネクションとは、繋がりであり、電話番号やメールアドレスはもちろん、SNSのアカウントのいずれかが登録されているマーケティングIDのことです。
コネクションの有無を判別するのに名前や住所などの個人情報は必要ありません。
ある有名雑貨店の経営者の方の講演の中で印象的なお話があります。
「かつてのお客様はお店で冒険をしてくれた」
「今のお客様はスマホで冒険を終えてからお店を訪れる」
「お客様に冒険を提供すべき場所が変化したことを理解しなければならない」
つまり、新しい時代において経営基盤のしっかりした企業とは、電話番号、メールアドレス、SNSといった連絡手段があるお客様の人数と、それらのお客様が個別に必要としている企画を把握し、立案し、個別に告知することのできる会社のことだと定義することができるのです。
そして、これらを会社経営に活かすためのお客様の行動履歴データの蓄積とそのデータに基づいた企画の立案告知を可能にする経営基盤のことをマーケティングプラットフォームと呼びます。
3.コミュニケーション手段が登録されているユーザーをいかに獲得するのか?
お客様と企業の間で初めての取引関係が成立する主要商品のことをフロントエンド商品といいますが、このフロントエンド商品の販売数量を最大化させることが、多くの新規顧客の獲得に繋がります。
新規顧客を獲得することができれば、多くの企業の場合、お客様とのコミュニケーション手段を登録することは難しくありません。
ということは、デジタルマーケティングを成功させるためには、「新規顧客を獲得することが大切!」ということになるわけですが、それでは、数多あるデジタルマーケティングのメリットをリピート率UPに限定してしまうことになります。
デジタルマーケティングはフロントエンド商品の販売強化にも活用することができます。
そのために必要なのが、Webマーケティングとの併用が必要なのです。
既にお話した通り、デジタルマーケティングの成否はコミュニケーション手段があるお客様の人数で決まります。
だとすれば、自社のフロントエンド商品を購入する前のお客様であっても電話番号やメールアドレスなどのコミュニケーション手段を取得するための方法を実施する必要があります。
そのために最も有効的なのが、カタログやサンプルなどの資料請求やホワイトペーパーとも呼ばれる資料ダウンロードです。
資料請求や資料ダウンロードをお客様がアクションしようとする際、一般的にはメールアドレスの登録が必要です。
このメールアドレスの登録によって、企業はコネクションを獲得することができるのです。
資料請求や資料ダウンロードによるコネクション数を獲得するためには、コンテンツマーケティングと呼ばれるWebマーケティングが最も効果的です。
コンテンツマーケティングとは、お客様の知りたい!調べたい!といったニーズを含んだ検索キーワードであるKnowクエリに対して最適な解を、記事や画像や動画といったコンテンツで発信する手法のことです。
Knowクエリは、商品やサービスを購入したい!発注したい!といったニーズを含んだ検索ワードであるDoクエリに比べると、競合性が低く、いずれDoクエリ検索ユーザーに変化することが期待できることから、以前から注目をされていましたが、売上に結びついていることが分かりにくいために投資が進みにくい分野でもありました。
確かに、コンテンツマーケティングからいきなり収益の得られるコンバージョンを獲得することが難しいのですが、コネクション数を獲得することは可能ですし、何よりも情報収集ニーズの高いKnowクエリと資料請求や資料ダウンロードとの愛称の良さは、Doクエリ以上です。
つまり、コンテンツマーケティングと資料請求および資料ダウンロードを組み合わせたコネクション数の獲得がデジタルマーケティングへの入口だと考えることができるのです。
4.コミュニケーション手段のある見込み顧客から収益をあげる
デジタルマーケティングの魅力は、マーケティングID別にユーザーの行動履歴が把握できることです。ユーザーの行動履歴を把握することで、いわゆるユーザーの興味関心の温度感を把握することができます。
購入や発注をする直前のお客様の多くは、共通の行動をとります。
Webマーケティングにおいては、購入や決済をするユーザーが閲覧するWebページは共通していて、そのWebページがどのページなのかを把握するための指標として「ページの価値」があります。
コミュニケーション手段がある見込み顧客に対してメールマガジンなど継続的なコミュニケーションを図り、メールの開封率、リンクのクリック率、Webの閲覧履歴をマーケティングID別に把握することで、特定のWebページを閲覧しているユーザーに対して、ラストワンコミュニケーションを図ることができ、新規顧客や安定顧客、固定顧客といった優良顧客に育成することが可能になります。
そのラストワンコミュニケーション、いわゆる最後のひと押しとなるコミュニケーション手段がTELだというのも興味深いところです。
デジタルマーケティングのコンサルティングを通じて、リードナーチャリングと呼ばれる見込み顧客における購入温度感を高める必要性について耳にすることが多くあります。
その多くが「見込み顧客の温度感を高め続け、高まった時点で何をするか?」といった視点が語られることが多く、見込み顧客の温度感の変化量を把握するための手法として、スコアリングがあります。
私はその考え方とは一線を画すことが多く、お客様の購入温度感は急激に高まったり、下がったりするものとして捉えることが大切で、高まった瞬間にアウトバウンドコールなどのラストワンマイルコミュニケーションを実施する必要性を強く感じています。
著者情報
株式会社船井総合研究所
ECグループ アソシエイト
横窪 勇太Yuta Yokokubo
明治大学政治経済学部を卒業後、2020年に船井総合研究所に新卒で入社。入社以来一貫してデジタルマーケティングに従事し、これまで、士業・保険代理店・自動車・食品・小売・不動産・専門サービス業のWeb・SNS広告運用、Webサイト・メディアサイト立ち上げ・活性化などを経験。2021年よりBtoB、BtoC向けのEC立ち上げ・活性化を中心に行っている。