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2022.06.22

年間売上を1.2倍にするためのLTV管理とBI活用方法とは?

年間売上を1.2倍にするためのLTV管理とBI活用方法とは?

皆様はLTVという指標をご存じでしょうか?
Life Time Valueの頭文字をとった略称なのですが、この指標を生涯顧客価値と言い換えることもあります。
一般的に商品別や顧客別に売上を見ることはありますが、このLTV(1顧客あたりの売上高)を見られている法人様は意外と少ないように思います。
実はこのLTV、売上を作るうえで避けて通れない「客単価」に当たる非常に重要な指標にもかかわらず、向上させる難易度が高いためか、嫌煙されがちです。

LTVをきちんと活用すれば実は新規顧客を獲得するより簡単に売上を伸ばすヒントが得られるのですが、ご存じ方は少ないかもしれません。
そこで、このコラムでは、その重要な指標であるLTVを活用し、売上を伸ばすためのヒントをお伝えできればと思います。

今回は、LTVを使って業績を伸ばすための2つの活用法である
①LTVで見る注力商品の見つけ方
②LTVを上げるためのF2転換とは?
についてお伝えしたいと思います。

LTVで見つける、意外な注力商品。

皆さんはLTVの計算式をご存じでしょうか?
概念としてはシンプルに一人当たりの1年間の合計売上、なのですが、これをさらに分解すると、年取引回数×取引単価になります。
今回、注目したいのは年取引回数です。
この年取引回数をF(フリークエンシー:頻度)値と呼ぶのですが、お伝えしたいのは、このF値が高い商品を見つけて購買を誘導することでLTVがあがる、という考え方です。

ここで出てくる疑問としては、
①F値ってなんだろう?購買頻度ならそもそも商品別で見れる指標じゃないよね?
②そもそもなんでF値が高い商品を買ってもらうとLTVがあがるの?
というところです。

①に関してはその通り、この値は普通、顧客別に見ます。RFM分析のFです。
しかし、今回の活用ではこのF値を顧客別でなく、少し強引に商品別で見ます。

つまり、「この商品を購買している顧客の年間平均(または中央値)取引回数」を出すのです。
Aという商品を買った人が1年間に100人いたらその100人のF値の平均または中央値です。

純粋な取引回数であり、商品の単価は関係ないので、結果的に電池とかインクとか、消耗品が高くなる場合が多いです。

ここで2つ目の疑問です。
ではなぜF値が高い商品を買ってもらうとLTVが上がるのか?

結論、「 お客様との接点が増えるから 」です。

購買をする、と言う行為は発生するたびにその商品に対して、企業に対して情報を得ようとします。
例えば一緒に買うものはないか?もっといい商品はないか?新商品は?
こういった行動接点は購買を促す大きなチャンスです。F値が高い商品はこの頻度が多いんですね。
なので、F値の高い商品はメインで買うことはなくても、買ってさえもらえればLTVは上がります。

LTVを上げるためのF2転換とは?

LTVを上げるために最も重要な指標、それがF2転換です。要するに2回目購買の誘導率、ですね。

このF2転換は率も重要ですが、タイミングも非常に重要です。
私のお付き合い先の中でいえばほぼ100%、このF2転換のタイミングが早ければ早いほどLTVが上がります。

船井総研の原理原則の中に「3回安定10回固定」という言葉があります。
要は3回買い物してしまえば、安定のお客様になり、10回買い物してもらえれば固定のお客様になる、という意味なのですが、
今回のF2転換は3回に至るための先行KPIということになります。

つまり、何が言いたいかというと、この転換率が低いと単発の買い物だけで終わってしまうということなので、LTVは上がらないということです。

悲しいことにF2転換率が低いままどれだけ新規顧客を獲得しても、穴の開いたバケツのように、大事なお客様は去っていってしまいます。

なので、先に作ってしまうのです。
F2転換率が最大化するアプローチのタイムスケジュールを。

僕はこれを〇〇日顧客育成プランと呼んでいますが、初回購買からのストーリーを作って誘導率を高めます。最もわかりやすいのはメルマガのステップメールです。
初回購買から〇〇日後にこの内容を送る。これを決めます。ただし、メルマガだけではありません。サイト、電話、FAXあらゆる顧客接点で訴求内容とタイミングを決めます。
そうすることで、自社にとって絶対に伝えたいことを効果的に伝えられるので、F2購買につながる可能性が上がります。

100%はうまくいかないので、何よりも大事なのは検証することなのですが、その検証方法としてぜひ検討したいのがBIになります。

BIはBusiness Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略で経営数値を好きなように加工して分析、見える化できるツールになります。

今回は細かい説明は省きますが、LTVを上げるためには非常に有効なツールなのでそれはまた次回以降のメルマガにて・・・

自社の顧客のLTVを上げたいとお考えの方、ぜひ無料経営相談もご利用ください。

著者情報

中村 勇志

株式会社船井総合研究所
ECグループ コンサルタント

中村 勇志Yushi Nakamura

大学卒業後、大手広告代理店に就職。OMOのプロモーション提案を得意とし、トップ営業マンの経歴を持つ。船井総研に入社してからは、RPAとBIツールを利用したデータを駆使し、「売上を上げるためのデータ活用」を中心に行う。これまで、自動車・不動産・保険代理・アミューズ・ゼネコン・アパレル・小売・士業など、のべ50社にも及ぶ幅広いクライアントのDXと業績アップに貢献している。
共同著書:「担当者になったら知っておきたい 中堅・中小企業のための「DX」実践講座」
寄稿記事:NewsPicks「RPAを活用して業績を伸ばす方法」2021年6月など
その他:2021年度船井総合研究所ベストコンサルティング賞3位受賞